57人の「乗客」は旅支度を調えて、今まさにアジアインフラ投資銀行(AIIB)という1千億ドル(約12兆2920億円)の価値がある「豪華バス」に乗り込もうとしている。AIIBの創設メンバー57カ国の政府高官が29日に北京に集まり、「アジアインフラ投資銀行設立協定」に調印する。どの国が一番大きな発言権をもつか。誰が初代総裁になるか。地域センターはどこに置かれるか。こうした疑問への答がまもなく明らかにされる。「北京商報」が伝えた。
▽権力:否決権行使の可能性は低い
第1期創設メンバー21カ国が2014年10月に調印した「アジアインフラ投資銀行の設立準備覚書」に基づき、AIIBは国内総生産(GDP)によって判断した経済規模を各国への出資比率割当の土台とする。アジアの参加国への割当は約70~75%、アジア以外の国には残りの25~30%が割り当てられる。公開されたデータによると、14年の中国のGDPは日本を抜いて世界2位であり、米国がAIIBに参加していないことから、中国が最大の出資枠を獲得し、筆頭株主になることは確実だ。
財新網が伝えた関係者の話によると、中国はAIIBで26%の議決権をもつことになるとみられるが、財政部(財務省)はまだ関連データを公表していない。
26%の議決権とは何を意味するのか。多国間組織の一般的な原則を踏まえて、AIIBの方針決定では参加国の3分の2以上の同意、または75%の得票率が必要だ。26%の議決権があるということは、中国は実質的に否決権をもつということになる。
中国国際経済交流センター研究部の劉向東副研究員は、「たとえ中国が否決権をもっていたとしても、実際の操作の中でこの権力を行使する可能性は極めて低い。理論的には、中国は確かに否決する権力をもつことになるが、実際には、中国はAIIBの発足を呼びかけた国であり、これからのAIIBに関わるプロジェクトの背後には中国の積極的な働きかけがあることは間違いない。またAIIBはアジアのインフラ設備への投資問題の解決に力を注ぐもので、高い包容性があり、否決権の行使はAIIB創設の主旨にそぐわない」と話す。