日本の安倍晋三首相は最近行われた国際交流会議「アジアの未来」で講演し、日本が5年間で約13兆2千億円(約1100億ドル)のアジア向けのインフラ資金を提供し、アジア諸国のインフラ建設を支援することを表明した。国際金融報が伝えた。
この行動に対して市場の関心は、アジアインフラ投資銀行(AIIB)との比較に集中している。だが日本の対外経済政策からこれを読み解くことにはさらに戦略的な意義がある。
▽深刻なインフラ投資不足
数十年以来、アジアとりわけ東アジアの経済の動向は世界の注目を浴び、世界の経済成長の中心となってきた。だがアジアにも弱点がある。インフラの深刻な不足である。経済発展に伴い、インフラ建設の投入不足はさらに拡大している。
中国社会科学院アジア太平洋・世界戦略研究院国際経済関係研究室の趙江林室長によると、アジアは現在、経済の急速成長期にあり、その直面している最大の問題がインフラ投資というボトルネックである。アジア地域のインフラ投資不足は巨大で、各国が協力して解決する必要がある。
アジア開発銀行(ADB)の予測によると、2010年から2020年までのアジアのインフラ投資ニーズは8兆ドルにのぼる。ADBのアジア地域のインフラ建設融資額は年間130億ドル前後で、総投資額は10年でも1300億ドルにすぎず、予想の8兆ドルをはるかに下回っている。
中国社会科学院アジア太平洋・世界戦略研究院新興エコノミー研究室の沈銘輝室長も、アジア地域で急速に発展しているインフラ融資ニーズは、単独の政府の財力でも現存の国際金融体系でも満足させることは難しいと指摘する。ある分析によると、AIIBは今後10年で1兆2千億ドルから1兆3千億ドルの資金を提供することができ、残りの不足は市場のチャンスとなる。