理由を調べてみると、日本は確かに地震や台風に耐えうる1,000m級の摩天楼を建造する能力を有しているが、この国の建築業者のほとんどが、高さが500mを超える建築物は大量のコンクリートでその強度を維持しなければならず、広い内部空間を確保できないため、ランドマークとしての用途でしか利用できず、人が居住するのにふさわしくないと考えており、そのためこのようなブームに迎合していない。
もう一つには歴史的な伝統がその理由に挙げられる。日本は明治時代になってようやく3階建てが許されたほどで、平屋の歴史が非常に長かった。また東京は明治5年(1872年)に大火災が発生し、「銀座レンガ街計画(銀座規則)」が制定され、建築物の高さは道の広さにあわせるように要求された。このように安全面または景観の上からも道理に適っており、人々の心に深く根付いている。
また東京の建築物が外国人が思うほど高くないのは、あるいは「日照権」という概念が特別発達しているせいであるかもしれない。建物を建てる際にはその周囲の住民の日照権を妨げてはならず、多くの住宅街では10mの高さ制限のほか、屋根の角度まで厳格に規定されている。
そのため、日本の大都市はこれからも美しい「東京日和」を維持できるだろう。(編集TG)
(著者:劉黎児氏。日本に住むベテラン報道人で著名な作家。台湾大学歴史科を卒業し、台湾大学歴史所に勤務。1982年に来日し、台湾紙「中国時報」駐日特派員、東京支局長を経て、現在は作家として活躍している。)
「人民網日本語版」2015年12月4日