故宮博物院の東西両側にある、これまで未開放だった2本の通路が年内に開放される。また、故宮の西壁付近に位置する文化財修復室の参観通路も開放される。これら3本の参観通路が開放されるに伴い、故宮博物院の一般開放面積は現在の65%から76%に引き上げられる。北京日報が伝えた。
▽可愛らしい獅子像と記念撮影
故宮・武英殿の東側には「断虹橋」という名の橋があり、橋の欄干の上に様々な表情やポーズをした獅子像があることで知られる。特に橋の東側、南から数えて4匹目の獅子はユニークで、右の前脚を後頭部にあて、もう片方の前脚を後腿の間に挟み、口をぽかんと開いて、やりきれない顔つきをしている事から、ネットユーザーに「萌え獅子」と呼ばれている。
元代に建造されたこの石橋は長い間未開放だったため、この萌え獅子の顔を拝める人はほとんどいなかった。来月以降は、この橋から隆宗門までのエリアが開放される。
故宮博物院の単霽翔院長は「断虹橋を過ぎた先、西側の赤い壁の後ろには紫禁城の氷庫がある。これは当時、氷を保管するために使われていたもので、これまで一般開放されたことはない。ここは慈寧宮エリアの飲食エリアとなり、来場者は氷庫の中で座って休憩できる」と述べた。
▽皇帝が弓の練習をした「箭亭」
氷庫のある通路とほぼ左右対称をなす紫禁城東側の通路も新たに開放される。箭亭から南の文華殿までをつなぐ通路で、このエリアもこれまで未開放だった。
箭亭は「亭」という名前ではあるが、間口5間、奥行き3間の黄色い瓦に覆われた大きな正殿で、景運門の外、奉先殿の南の開けた場所に位置し、清の雍正帝の時代に建設されたものだ。正殿の四周は廊下に囲まれ、乾隆帝・嘉慶帝もここで弓の練習をしたという。
故宮専門家によれば、皇帝やその子孫が箭亭で馬に乗ったり、弓の練習をしたりするたびに、箭亭の両側には兵士が列を作り、旗を振り鼓を鳴らして声援を送ったという。清代の初期、一部の皇族や大臣は特別に宮中で馬に乗ることを許されていた。箭亭の周りにある空き地は当時、馬をつないでいた場所だった。また、時代劇や小説でよく出てくる「御茶房」はこの通路のすぐ東側にある。
▽文化財修復の様子を近くで参観
今年初め、中国中央テレビのドキュメンタリー番組「我在故宮修文物」が放送されると、故宮の文化財修復師に注目が集まった。今年10月10日には故宮西河沿いの文化財保護科学技術部作業室が一般開放され、修復の様子を近くで目にすることができる。
単霽翔院長は「西河沿いの通路が開放されれば、博物館の背後にある物語が明かされることになる。1万3千平方メートルの修復室には、全長361メートルの参観通路が設けられ、ガラスの壁を通して修復師たちの技術を眺めることができる」と語る。(編集SN)
「人民網日本語版」2016年6月29日
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