工業化時代において、伝統工芸は「衰退」の危機にさらされるもので、「匠の精神」を誇りとする日本であっても、工業化のあおりを受けている。日本の伝統工芸は今、興味を示す人がおらず、職人も減り、後継者問題に直面している。うちわは日本の伝統工芸の代表的な存在で、熊本県の山鹿や香川、京都はその三大産地で知られている。山鹿市の豊前街道は、最盛期には16軒の店でうちわが生産されていたというが、今は「栗川商店」だけになってしまった。(文:呉雨倫。文匯報掲載)
明治22年に創業した「栗川商店」は128年の歴史を誇り、今は4代目の栗川亮一さんが経営している。竹と和紙でうちわを作る同店の技法は江戸時代以来のもので、手で扇いで風を起こすために使われる。第二次世界大戦以降、日本は高度経済成長期に入り、扇風機やエアコンが普及し始めたため、うちわの需要は激減し、人々の生活からほとんど姿を消してしまった。栗川商店でうちわを作って25年になるという職人・下河広介さんによると、「うちわという日本の伝統工芸品を全く知らない子供もいる」という。
うちわは30ものの工程を経て完成し、最盛期には各工程に1人ずつ職人がいたという。従事する人が減少するにつれ、1人が複数の工程を担当するようになり、製作の工程を習得するには5年かかるという。うちわに使われるのは3年ものの真竹のみで、竹筒の周囲の寸法は30センチ以上。竹の縁は光沢が出るように処理され、全ての工程が手作業だ。
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