米イェール大学シニアフェロー上級研究員のスティーブン・ローチ氏は、「米国は100ヶ国以上との貿易で赤字を計上している。米国経済はサービス業をメインとしており、貯蓄は少なく、消費が多い。自国の生産だけでは国内の消費の需要を満たすことができず、大量の商品を輸入しなければならない。貿易赤字は実質的には、米国が他の国の余っている貯蓄を利用して、自国の生産能力を上回る消費水準を保っているだけのこと」と指摘している。
中国の対米物品貿易が黒字になる理由はたくさんある。その根本原因は、両国の経済構造や産業競争力、国際分業などによって決まり、現行の貿易統計制度、米国の対中ハイテク輸出管制などの要素の影響を受ける。為替レートが同じ状態において、中国は、労働密集型商品の分野で黒字である一方、資本技術密集型商品や農産品、サービス貿易などの分野では赤字。つまり、強い競争力を誇る産業ほど黒字になるということだ。中国と米国は輸出入どちらの面でも、市場次第で両国の企業と消費者の自主的な選択が結果となる。カギとなるのは、中国が積極的に米国の対中貿易赤字という状況を改善している点だ。
米国が単独行動しても当て外れになる
14日にトランプ大統領が大統領令に署名したからといって、米国が直ちに具体的な調査を始めるわけでも、中国に対する制裁を必ず実施するわけでもないとの声もある。米国のある首脳は、米国が『301条に基づく調査』を本当に実施するとすれば、中国と話し合いの場を設けてからになる」との見方を示している。
オーストラリアのLOWY 研究所の執行役員であるマイケル・フリラヴ氏は、「米国政府の中国に対する貿易調査を厳然たる態度で対応しなければならない。中国と米国の間で貿易摩擦が起きれば、オーストラリアはエネルギーや農産品の貿易などの分野で損失を被る恐れがある」との見方を示している。
米ピーターソン国際経済研究所は、「中国と米国の間で貿易摩擦が起きれば、中国が持つ『武器』も力を発揮する。例えば、中国が米国からの飛行機と大豆の輸入を禁止するだけでも、米国にとっては破滅的な結果となる」と分析している。統計によると、今年6月の時点で、中国は、米国にとって2番目に大きな貿易パートナーで、3番目に大きな輸出市場、一番大きな輸入源となっている。米国が輸出するボーイングの飛行機の26%、大豆の56%、自動車の16%、集積回路の15%の輸出先が中国だ。
中国商務部の報道官は、「米国が事実を顧みず、多国間貿易のルールを守らずに、中米の経済貿易関係を損なうような行動をとれば、中国は黙ってみることはせず、必ず必要な対策を全て講じ、中国の合法的権益を守る」との姿勢を示している。
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