酷暑の真夏に北に進み、ベーリング海峡を通過し北極海に入り、さらに北極圏などの目的地で科学観測任務を急ピッチで展開した後、帰路につき上海に戻る。これは人々によく知られている、中国北極科学観測の毎年の慣例だ。極地観測船「雪竜号」もこの慣例に従い、中国第8回北極科学観測を終え、先ごろ凱旋した。人民日報海外版が伝えた。
今回の科学観測では、人々が注目する素晴らしい成果があった。国家海洋局が発表した総括報告によると、今回の北極科学観測には4つの初があった。1つは初の北極海一周観測を実施。2つ目は初の北極中央航路を航行し、北極海の公海で科学調査を展開。3つ目は初の北極北西航路を航行し、国際協力を強化し、海洋環境・海底地形調査を展開。そして最後は初の北極と亜北極で海洋プラスチックごみ、マイクロプラスチック、人工放射性元素の観測の実施だ。
北極の北東航路と中央航路、北西航路という3本の航路のうち、雪竜号は今回の科学観測で中央航路と北西航路の初航行に成功した。
北極航路は北極海を通過し、北太平洋と北大西洋を結ぶ最短の航路で、東アジアから北欧や北米に向かい、北米から北欧に向かうための近道だ。うち北東航路の大半の航行区間が、ロシア北部近海の北極海にある。北西航路の大半の航行区間が、カナダ北極諸島の海域にある。ベーリング海を出発点とし、東は米アラスカ北部の海域に沿い、カナダ北極諸島を通過し、デービス海峡に至る。中央航路は公海にあり、ベーリング海から北極に向かう約2500キロの航路。これには北極点及び付近の公海が含まれる。
2012年の第5回北極科学観測で、雪竜号は北極北東航路の航行に初成功し、科学観測を行っていた。中国は北極の3航路の航行と科学観測の「フルカバー」を実現した。得られた関連航路情報及び水文・海流などのデータは、複数の大陸を跨ぎ貿易を行う世界海運業にとって、紛れもなく重要な意義を持つ。
気候温暖化により、北極の氷河と氷雪が溶解している。そのため北極航路の商業的価値が日増しに高まっている。海運業者の計算によると、北極北東航路を航行することで、従来のマラッカ海峡とスエズ運河を通過する航路より、時間と航行距離を約3分の1短縮できる。燃料などのコストを大幅に削減し、航行の回転率を高めることができる。さらにスエズ運河の通行費用をなくし、季節風による航行の安全問題や海賊の襲撃などを回避できる。雪竜号が北東航路を初航行すると、中国の商船がこの航路を使い、欧州に到達している。ロシアは北東航路がもたらす発展のチャンスを目にし、中国を北極航路の共同開発に招いている。また「一帯一路」(the Belt and Road)イニシアティブに積極的に呼応し、「氷上シルクロード」の共同建設を打ち出した。(編集YF)
「人民網日本語版」2017年11月2日
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