環太平洋パートナーシップ協定(TPP)は米国が離脱を宣言した後、一度は窮状に陥ったが、最終的に転機を見いだした。日本の茂木敏光経済再生担当相とベトナム商工省のチャン・トゥアン・アイン大臣はこのほどベトナム・ダナンで行われたアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議の会期中に、米国を除く11ヶ国で引き続きTPPを推進することで一致し、11ヶ国は新たな自由貿易協定に調印するとともに、新協定の名称は「全面的かつ先進的なTPP」(CPTPP)、略して「TPP11」になると発表した。「国際商報」が伝えた。(文:李高超)
▽変身後のTPP 変身前との違いは?
このように「変身」したCPTPPだが、変身前とどこが違うのだろうか。最大の違いはなんと言っても、「世界のボス」の米国が不在であることだ。TPPは元々12のエコノミーをカバーする自由貿易協定で、参加国の国内総生産(GDP)の合計は世界の40%を占め、貨物貿易額の合計も世界の25%を占めた。米国の経済規模が巨大であるため、米国が抜けた後の11ヶ国の経済規模は名目GDPで世界の13%、貿易額で世界の15%に減少した。
数字の変化は単なる表面的なことに過ぎない、米国が去った後のCPTPPには、TPPに比べて多くの実質的な変化がみられる。
まず、標準のレベルが下がった。TPPが標榜したのは高い標準の自由貿易協定を打ち出すことで、関連の標準の設定では、現行の多国間自由貿易協定に比べて、確かに多くの面でよりレベルの高い標準は打ち出された。これはTPPのこれまで何度にもわたる交渉で、一部の参加国が一貫して譲歩しなかった原因でもある。だが米国市場の巨大な潜在力があったため、一部の国は米国市場に進出することの便宜と引き替えに、最終交渉では譲歩し、こうしてTPPは妥結にたどり着くことができた。だが今や米国は離脱し、譲歩しても米国市場に進出することは不可能になったため、11ヶ国はそれぞれにソロバンをはじいて計算するようになった。最近のメディアの報道をみると、CPTPPはTPPの中身の95%を残してはいるが、20項目については一時停止するとしており、このうち知的財産権に関するものが11項目、労働基準や文化の保護に関するものが4項目あり、今後の話し合いが待たれる。
次に、発効条件が変化した。これまでTPP発効の条件は協定を批准した国のGDPが全調印国のGDP合計の85%以上でなければならないというものだった。元々の12ヶ国のGDP合計のうち、米国が60%を占めており、米国の離脱は合意が実質的に廃案になったことを意味していた。そこでCPTPPの発効条件は緩和され、6ヶ国が批准すれば発効することに改められた。
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