問い合わせや購入で訪れる人が引きも切らない寛厚里の鉄鍋体験ショップ(22日撮影)
山東省済南市章丘区に代々伝わる「同盛永」という鉄鍋の継承者である劉紫木さんは2月21日早朝、微信(wechat)のモーメンツに、「舌で味わった後の中国、章丘に鍋なし」と投稿した。「済南日報」が伝えた。
済南市寛厚里にある同盛永の鉄鍋体験ショップには、この鍋を手に入れようと連日大勢の人が訪れている。19日夜にドキュメンタリー番組の「舌で味わう中国」の第3シーズンがスタートすると、章丘鉄鍋の情報がモーメンツで次々転載され、検索ワードランキングにも登場し、多くの人々がこの鉄鍋を買い求めに走った。その結果、劉さんも鉄鍋も「人気者」故の苦悩に直面することになった。
22日午前9時、体験ショップはその開店前から、評判を聞いて訪れた人々がガラス越しに店内の様子を眺める光景が見られた。入り口のところで携帯電話で写真を撮っていた人にたずねると、「『舌で味わう中国』の第3シーズンを見てやって来た」と答えた。このショップと店外にたたずむ人々は、今や寛厚里の風景の一部となりつつある。
劉さんのまとめた大まかな統計によると、番組が放送された夜だけでも3千個近い鍋が売れ、劉さんをはじめとする継承者たちに数十万個の注文が舞い込んだ。このうち半分は海外からの注文だった。しかし人々を驚かせたのは、劉さんたちがこうした注文を一切受け付けなかった点だ。劉さんは、「人の手で作りあげるこの鍋は、繰り返し繰り返し鉄を打って作り上げるのであり、1万個もの注文を受けた場合、どんな鍋になるかわからない。金もうけのために中途半端な商品を売りたくない。章丘の鉄鍋は、鍛冶職人の名誉に関わるだけでなく、私たちの地元である済南の評判にも影響する」と説明する。
劉さんは今後について、「目標はこの手工芸の技術を伝承していくことで、1個1個の鍋をしっかり作り上げることだ。近く章丘鉄鍋協会を立ち上げる予定で、今は書類申請の準備を進めている」と話す。
章丘鉄鍋の製造は12工程からなり、18回にわたり炉の火をくぐらせ、鉄を1千度の高温で熱し、鏡のようにつやつやになるまで3万6千回にわたり鉄を打ち続ける。
この技術の歴史は古く、漢代には章丘はすでに鉄製品製造の重要な拠点だったという。だが2000年頃になると手作業による鉄鍋の製造は大きな打撃を受け、最近になってやっと伝統的な鉄鍋の魅力が見直されるようになったところだという。手作りの工芸品をこよなく愛する若い人々の協力を得て、継承者の一人で83歳になる王立芳さんや一度は鉄鍋を見限った職人たちが製造の現場に戻ってきたため、章丘鉄鍋の技術は見事に復興を遂げた。(編集KS)
「人民網日本語版」2018年2月26日
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