決済分野の場合はこうだ。金融機関の間では、特に国境を越えて業務を行う金融機関の間ではチェック、清算、決済にかかるコストが大きく、人による手続きのプロセスも多いため、利用サイドと金融機関のバックヤード業務サイドなどに高額の経費が発生するだけでなく、少額の決済業務の取り扱いが難しいという問題もあった。ブロックチェーン技術の応用により金融機関同士のチェックやトラブル解決にかかるコストが下がり、決済業務の処理の効率が大幅に向上することになった。またブロックチェーン技術は決済分野にコストと効率の優位性をもたらし、金融機関はこれまでコスト面で取り扱いの難しかった少額の越境決済を扱えるようになり、金融包摂の実現にプラスになった。
ブロックチェーンは福祉事業の分野でもいろんなことができる。アントフィナンシャルサービスグループ初のブロックチェーン応用シーンは福祉事業で、聴覚障害児のための寄付集めに協力し、その後、ブロックチェーン技術の運用による福祉事業の開放性と透明性の向上を促進した。同グループ技術実験室の高級商品に詳しい胡丹青氏は、「ブロックチェーンの福祉事業プラットフォームはインターネット上に送金専門の郵便局を設立したようなものだ。ユーザーからの寄付は1件1件がすべて一つの『宅配便』にまとめられ、この『宅配便』はブロックチェーンのプラットフォームを通じて運ばれ、ブロックを通過するごとに消印が押されて、最終的に受取人の手元に届くようになっている。こうしてすべての寄付の動きの透明性、追跡可能性が保証されると同時に、改ざんは困難になる」と述べた。
商品のニセモノ摘発でもいろいろなことができる。胡氏は、「アントフィナンシャルサービスグループはブロックチェーンの技術を正規の商品の追跡に応用している。すでにオーストラリアやニュージーランドから海外通販で輸入された粉ミルクなどの商品の一部は、支付宝(アリペイ)でスキャンすると正規品でなければわかるようになっている」と述べた。
金融の監督管理でも重要な役割を担う。金融ブロックチェーン協力連盟(深セン)が2017年に発表した「金融ブロックチェーン基盤プラットフォームFISCO BCOS白書」では、「ブロックチェーンは金融監督管理機関に一致した、会計監査を容易にするデータを提供したのであり、機関の間で行われるブロックチェーンのデータ分析を通じて、これまでの会計監査プロセスよりも速くて正確な金融業務の監督管理が可能になる。たとえば反マネーロンダリングのシーンで、口座ごとの残高記録や取引記録が追跡可能になり、すべての取引のすべての段階が監督管理の目から逃れられなくなり、反マネーロンダリングの取り組みを大幅にパワーアップさせた」との見方が示された。
業界関係者は、「ブロックチェーンのバージョン1.0は主にデジタル通貨を対象にし、バージョン2.0は主にスマートコントラクトを対象にし、金融市場での応用が可能になった。バージョン3.0は応用シーンがさらに広がり、『ブロックチェーン時代』に突入する可能性もある」と話す。
このウェブサイトの著作権は人民日報社にあります。
掲載された記事、写真の無断転載を禁じます。
Tel:日本(03)3449-8257
Mail:japan@people.cn