別名中国の「天眼」と呼ばれる口径500メートル球面電波望遠鏡(FAST)の早期科学データセンター(以下、同センター)が発表した情報によると、19本ビーム受信機の稼働開始に伴い、FASTの宇宙巡行能力が大幅に強化されたという。これによって生じる大量のデータは、同センターにとって厳しい試練となる。しかしこれを懸念する必要はまったくない。同センターはハード購入に1000万元(約1億6630万円)以上を投じ、データセンターを拡張する計画があるからだ。科技日報が伝えた。
FASTの宇宙巡行には1回当たり約20日間かかる。通常は1本の光ファイバー専用ラインでFASTが入手した大量のデータを、FASTの所在地から100キロ以上離れた貴州師範大学に直接伝送する。中国科学院国家天文台と貴州師範大学が共同建設した同センターが、リアルタイムで伝送されてきた大量のデータの保管・計算・ふるい分けを担当する。
同センター副主任の劉志傑氏によると、FASTは1年以上の調整を経て、追跡やドリフトスキャンなど各種観測モデルを実現している。調整の進展は海外の同類大型望遠鏡を上回り、世界クラスの「宇宙観測の武器」となっている。同センターは現在2PBの宇宙巡行データを保管している。その容量は256G版のiPhone8000台分に相当する。モデル認識などのデータ処理手段により、同センターは現在までFASTを利用しパルサー11個と候補体54個を発見している。このように同センターがパルサー観測・計算、AI認証などの面で、世界トップ水準に達していることが分かる。
FASTが捕捉した大量の宇宙原始データは、何が人類未知の天文現象であるかを直ちに告げてくれるわけではない。まずは同センターによる技術処理を受け、科学研究者が見て分かるデータにする必要がある。例えば大量の宇宙巡行データを、鉱山から掘り出した鉱石の山だとするならば、同センターの役割はその中から金を見つけ出すことだ。当然ながらこれらの処理後のデータから、十数年さらには数十年後になり新たな発見があるかもしれない。そのためこれらのデータは貴重であり、長期的に保存する必要がある。(編集YF)
「人民網日本語版」2018年3月26日
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