また米国は中国に対してだけでなく、グローバル貿易において長期にわたり赤字を抱えている。エール大学シニアフェローのスティーブン・ローチ氏は、「米国は100数ヶ国に対して貿易赤字だ。米国経済はサービス業が主体で、貯蓄が少なく、消費が多く、自国での生産だけでは国内の消費ニーズを満たせず、消費財を大量に輸入する必要がある。貿易赤字は実質的には米国が他国の余剰の貯蓄を利用して、自国の生産能力を上回る消費水準を維持していることにほかならない」との見方を示す。
▽中米貿易赤字で、米国は本当に損をしているのか?
専門家によれば、「事実として、米国は中国から低コストの労働集約型製品を大量に輸入することで、米国国民の消費コストを大幅に引き下げ、『消費の余剰』を増大させ、実際に米国の消費者の福祉を向上させており、マクロ的にも米国がインフレを抑制する上でプラスになっている」という。
商務部国際貿易経済協力研究院国際市場研究所の白明副所長は、「貿易の赤字と利益の赤字は別々のものであり、中米経済貿易協力において、米国は受益者であり、米国の消費者が享受するメリットは目に見えるし、手で触れることもできるものだ」と述べる。
商務部が発表した「中米経済貿易関係に関する研究報告」によると、グローバルバリューチェーンの中で、貿易の黒字は中国に生じているが、利益の黒字は米国にあり、全体として中米双方は相互利益・ウィンウィンの関係にある。中国側の統計では、2017年の中国の貨物貿易の黒字のうち57%は外資系企業によるもので、59%は加工貿易によっていた。中国は加工貿易の中からわずかな加工賃を受け取るだけだが、米国は設計、部品の提供、営業販売などの各段階で巨額の利益を得ているという。
専門家は、「中米貿易赤字が生まれた原因は複雑で、両国の経済発展水準や産業構造と関係がある。貿易赤字は一日にして成ったものではなく、強制的措置で一気に解決することなどできない」と指摘する。(編集KS)
「人民網日本語版」2018年3月27日
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