今年、ネットショッピングの大手である淘宝(タオバオ)が、高齢者のキーオピニオンリーダー(KOL)を募集するというニュースを発表し、注目を集めた。募集要項が発表された当日だけでも担当部門に約1200通の履歴書が殺到した。
インターネットが発達した時代において、技術がデジタル・ギャップを広げるという観点が一世を風靡し、その観点からインターネット時代において高齢者は弱者層であるとみなされていきた。しかし、タオバオの求人公告をみればわかるように、積極的な考え方を持ち、学ぶ力に長けていれば、インターネット時代においても「シルバー族」は自分の価値を発揮することができる。
インターネットが急速に成長する時代において、「シルバー族」が社会に見捨てられたわけではない。現在、多くの高齢者はすでに微信(WeChat)といったチャットアプリを活用して子どもや孫たちと交流したり、アリペイを使ってショッピングしたりできるようになっている。
こうした大きな流れを受けて、一部のインターネット企業は高齢者市場を開拓しはじめている。タオバオが高齢者を募集する狙いも、より高齢者のニーズに応えられる商品を生み出そうとしているためだ。現在のインターネット企業のプロダクトマネージャーは、高齢者ユーザーに対する理解が十分でないため、高齢者のニーズに応える商品を打ち出すためには高齢者スタッフの採用が必須となってくる。
タオバオの若手プロダクトマネージャー雪梅さんによると、アリババは高齢者専用の「タオバオ家族版」を研究開発しているという。高齢者スタッフとの交流を通して商品改善のアイディアを見出すことが期待されている。
雪梅さんによると、「タオバオ家族版」の発表によって、「家族パワー」でタオバオがより使いやすくなったり、タオバオの使用体験を最適化することが期待されているという。高齢者がよく利用する一部の機能を目立つ位置にレイアウトし、検索機能もアルゴリズムから改善を進めていく。
インターネット企業は「シルバー族」スタッフの価値を重視し始めている。その理由として、高齢者社会が到来する一方、スタッフの価値は年齢で定義するべきではないということを意識し始めたからだ。
多くの企業は、「シルバー族」は貴重な人的資源の一つで、ビジネスチャンスに転化できるかもしれないということに気づいている。中国以外にもこのようなケースが存在し、日本の化粧品メーカーであるポーラにも高齢者スタッフが数多くいるという。
インターネットが普及した現在、多くの高齢者がインターネットという基盤において世俗の観念を打ち破り、個人の独自性やスキルを示している他、自分なりの価値も発揮している。 (編集HQ)
「人民網日本語版」2018年5月7日
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