先ごろ、中国で知名度の高いある情報技術企業が日本に研究所を設立し、それに伴う人員募集の際、新入社員の初任給に40万円を提示し、その高額さが話題となった。瞭望東方周刊が伝えた。(文:陳言。報道関係者、日本問題専門家 )
日本のメディアは同企業が日本で何を研究するのかではなく、「月給40万円」という点に注目し、報道した。現在、日本の大手企業の初任給は22万円程度で、中小企業であれば20万円以下というのが一般的だ。つまり、40万円というのは一般的な初任給の約2倍になるため、多くの日本人を驚かせることになった。
あるもうすぐ50歳になる日本人の友人はある中規模の情報技術企業で管理職に就いている。その友人に言わせると、「40万円というのは相当高い」という。彼は20年前に中国支社で勤務した経験もあるが、当時中国と日本の賃金差が大きかったことは今もしっかり記憶に残っているという。
彼は、「当時、中国の一般社員の給与はとても安く、日本との差は大きかった。今、中国企業が日本の新入社員に、日本の平均的な水準をはるかに上回る40万円の給料を払うことができるということは、中国の情報技術企業が近年、飛躍的に実力をつけているほか、中国国内の賃金水準が大幅に向上しているということだろう」と話した。
また、人工知能や先端通信技術、バイオ医薬品などの分野では、日本企業は中国人研究開発者を雇おうと思えば、日本の人材よりお金がかかると感じ始めている。
中国にある日系研究開発企業の数社は取材に対して、中国では、人工知能の研究開発が盛んで、関連人材が引っ張りだことなっており、月給40万円でも必要な人材を見つけるのはすでに困難だという。ある研究所の所長は、「中国の研究開発人員の賃金は、東京よりかなり高くなっている」と話した。
日本企業はその発展の過程で、かつては米国でかなりのコストを投じて、研究開発人材を雇ってきたという企業も多かった。しかし、中国人研究開発者の賃金が日本人より高いという事態はこれまで生じたことが無かった。
また別の通信研究開発企業の日本研究所の所長は取材に対して、「第5世代移動通信システム(5G)に携わる研究開発者は、日本人と比べて賃金が低いということは無い」と話す。
そして、「当社の5G研究開発の中心地は米国と中国。米国と比べると、中国の研究開発人員の数が多く、市場も大きい。そのため、ここ数年は中国に多くのプロジェクトを置き、中国を中心に5Gの研究開発を進めるという形ができつつある。賃金や待遇も自然と同じ方向に傾いていく」という。
視点を変えると、日本企業が中国人研究開発者に高い給料を払う根本的な原因は、将来の中国市場に大きな期待を抱いているからだともいえる。
一方、中国と日本の賃金水準が逆転しているのは、今のところ主に情報技術や人工知能、先端通信技術、製薬業などの研究開発分野に限られている。一般従業員の賃金水準を見ると、やはり日本のほうがかなり高くなっている。しかし、中国のハイエンド研究開発人材の賃金水準が向上しているということは、さらに多くのイノベーションの成果が生まれ、「メイド・イン・チャイナ」や「中国のイノベーション」を推進し、優れた循環が形成されると期待できるだろう。近い将来、さらに多くの分野で中国の賃金水準が日本を超える可能性もある。
最先端技術の分野で「報酬の魅力」がなくなると、「日本製」にどのような影響が出るのかという点も注目に値する。(編集KN)
「人民網日本語版」2018年4月11日
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