新しい年が始まり、日本の安倍晋三首相は年頭の記者会見で国内経済の難題を解決するために奥の手を繰り出し、今年は「国民生活のカード」を切るとした。次の選挙でより多くの票を獲得し、引き続き政権を担当することに意欲をみせる。「国民生活のカード」とは何か。安倍首相の話によると、難題である少子高齢化対策として、未来志向の社会保障制度をさらに推進していくことだ。一方で、政府は消費税率を再び引き上げ、税収をできる限り国民生活の充実に充てるとしている。安倍首相はこのカードを切って日本経済や日本政府に対する国民の信頼を取り戻す狙いだ。「経済日報」が伝えた。
「国民生活のカード」をうまく使うため、安倍首相は本当に奥の手を繰り出して、いくつかの難関を着実に越えていかなければならない。
第1の難関は、上昇を続ける消費税率だ。消費税は国民の生活と密接に関わる。安倍首相は今年10月に消費税率を10%に引き上げる予定で、これは形を変えた可処分所得の減少といえる。これまで日本では消費税率が上がると国内消費が振るわなくなり、企業投資も鈍化し、経済が低迷状態に陥った。予想では、今回の消費税率引き上げにより、日本の自動車産業だけでも今年の新車販売量を約30万台減らし、数万人が失業するとみられる。そのため、日本の経済界は、とりわけ小売産業は増税による打撃を心配している。
第2の難関は、転換が難しい少子高齢化の流れだ。現在、日本は65歳以上の高齢者が総人口に占める割合が28%と世界一だ。高齢化により日本の人で不足がますます顕在化するだけでなく、医療費や社会保障費が増大し、個人所得の伸びが停滞し、世帯の貯蓄が減少し、イノベーション力が弱まるなどのマイナス影響も生じる。
第3の難関は、政府債務の高止まりだ。財政収支のバランスを促進し、財政を再建するのが、経済の持続的で安定した発展を維持するための重要な要因だ。だが現在の日本政府の債務は過去最高の水準に達しており、20年の財政再建達成という目標は25年に先送りされた。経済の下ぶれ圧力が高まる中で、医療、社会保障、教育、国防、東京五輪、農業補助金、災害復興、インフラ建設などで財政需要が増大しており、財政再建はいつになるかわからない。
第4の難関は、デフレの深刻化だ。安倍首相が打ち出した「アベノミクス」は、デフレから脱却し、日本経済の成長を促進することが狙いで、当初はインフレ率2%を2年で達成するとの目標を掲げていた。だが目標達成の時期は何度も先送りされた。2018年1〜11月、日本のコアCPI(消費者物価指数)は0.7〜1.0%の範囲にとどまり、日本銀行(中央銀行)の設定した目標にはほど遠かった。
第5の難関は、国際環境が複雑で変化に富んでいることだ。米国のトランプ大統領が目下推進する「米国第一」の方針と保護貿易主義の政策は変わらないとみられる。今月下旬には、日米は二国間貿易協議を再開し、もしも米国が強硬な姿勢で日本に譲歩を迫れば、すでに相当疲弊している日本経済にはさらなる打撃となる。また国際金融市場の動揺、国際市場での大口商品の値下がり、新興市場の下ぶれリスクなどの要因も、日本経済にマイナス影響を与える可能性がある。
目の前に横たわるこうした難関に直面して、安倍首相が国民生活のために成果を出そうと考えるなら、持てる力をすべて出し切らなければならない。(編集KS)
「人民網日本語版」2019年1月15日
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