日本人研究者の吉野彰氏がノーベル化学賞を受賞したことがこのほど明らかになり、これで日本人が19年連続でノーベル賞を受賞した。日本人受賞者は日系人の学者を含めると延べ27人で、中国では日本の受賞ラッシュが大きな話題となっている。そして、日本の基礎研究の水準の高さに注目が集まり、それにひれ伏するほどの敬意を示す人さえいる。しかし、それと時期を同じにして、60年に1度と言われる大きな台風19号が日本の12県を襲い、その災害で亡くなった人は17日の時点で77人となり、行方不明者は9人、堤防の決壊は、68河川の125ヶ所に上った。そして、海や陸、空の交通機関が一時麻痺した。そのため、中国のネット上では、「日本の防災神話が崩れた」、「日本の防災システムの弱点が露呈した」など、防災大国である日本のイメージが崩れたと指摘する声が多く寄せられている。そしてこうしたイメージはノーベル賞受賞者を次々と出すという日本のイメージとは大きく異なっているというのだ。
中国人のこうした日本に対する一方の極端からもう一方の極端へとコロコロ変わる評価は、中日関係の変化を反映していると同時に、中国にとって重要な隣国である日本の動きを、中国人が常に気にしていることの表れでもある。そして、中国人が客観的、かつ理性的に日本の長所と短所を見ることが難しいときもあるという現状を反映している。
かつてアジア経済を牽引していた日本は、東アジア経済の奇跡を起こし、アジア唯一の先進国へと成長し、さらに、アジアのテクノロジー、技術が欧米を超えるという先例を作ってきた。実際には、日本は1980年代から、教育の面での優位性、グローバル人材の確保、多元化された奨励制度、拡大の一途をたどる資金投入などを通して、テクノロジー立国を目標に掲げ、基礎科学、応用科学、技術応用の相互サポート、転化を強化し、政府と企業の研究開発費が国内総生産(GDP)に占める割合、産学官などの各界が一致団結して技術の難関を克服するなどの観点から、アジア、ひいては世界でも明らかに優位な、リーダー的地位を確立してきた。
日本が成果を収めていることに、東アジアの隣国である中国はまず、祝福し、敬意を示すべきだ。そして、それを参考にし、そこから学び、日本との技術協力を拡大し、最終的にイノベーションを実現しなければならない。日本の長所を参考にし、そこから学ぶ必要はあるものの、ひれ伏すような姿勢を示す必要はなく、自分たちを過小評価することをしてはならない。日本の各テクノロジー革新、技術の進歩は日本の知恵の結晶であり、アジアが誇り、ひいては人類の誇りでもあるからだ。