昨年大学院に進学した馬佩さんは、抜け毛が深刻で、医師からは、「ミネラル不足による抜け毛」と診断された。1千元(1元は約15.4円)以上する薬を買い求めて治療しているだけでなく、育毛剤もずっと使い続けている。さらに200元以上もする「抜け毛防止マッサージブラシ」なるものまで入手したという。
「髪の悩み」をネタにした投稿もネットで後を絶たない。今年大学に入学したばかり学生の中には、はやばやと、「卒業時にハゲになっていたらどうしよう」と心配する者もおり、「大学院に進学するかどうかは、ハゲになっているかどうかで決まる」と冗談めかしてコメントしている。
薄毛の人々にとっての共通のニーズから、ヘアケア産業の誕生が促され、シャンプー・リンス、健康食品、物理療法、医療・美容、電子商取引などさまざまな業態が網羅されており、とりわけ、養毛ケア、植毛機関、かつら産業といった業界の急成長を後押しした。育毛や養毛、シャンプー・リンスなどの製品はその効果が現れるまでに一定の時間を必要とするが、植毛はその効果をたちどころに目にすることができる。
中国中医科学院整形外科の蒋文傑副主任は、「若い人の薄毛は、主に、アンドロゲンという男性ホルモンに関係しており、不眠や仕事のストレスが主な原因となっている。さらに、スマホを長時間使用していることも関係している」と指摘した。
蒋副主任は、「我々のところに治療にやって来るのは、80後と90後の患者が多い。最も高額の全体植毛は36万元かかり、施術後もケアが必要な場合、総費用は約50万元に上る。毛根1つにつき髪の毛は1本から4本となるので、平均すると髪の毛1本で25元ほどかかる」と続けた。
ほとんど全ての育毛製品は、「純天然植物成分使用」を謳っている。広告のキャッチフレーズなどを分析すると、消費者が見慣れている説明には、「栄養補給」、「吸収促進」、「毛根増強」、「バランスのとれた環境」などのフレーズが含まれている。だが、その成分を見てみると、グリセリンや第四級アンモニウム塩といった化学成分が連なっている。
プログラマーとして働く劉晨光さんは、薄毛対策の製品をいくつも使ってみたがいずれも効果がなかったため、病院で治療を受けることにした。そして薬の副作用について医師に細かく確認した後、内服薬より外用薬の方が、副作用が少ないと考え、ある外用薬を選択したという。(編集KM)
「人民網日本語版」2019年10月30日