南京大虐殺の生存者である向遠松さんが今月5日夕方に亡くなった。享年94歳。向さんが亡くなったことで、南京の中国侵略日本軍被害者援助協会に登録されている南京大虐殺の生存者はわずか54人となった。
1928年生まれの向さんは南京陥落後、二人の家族を亡くした。当時まだ9歳だった向さんは、1937年に兄の向遠高さんが旧日本軍に捕まり、石炭港の倉庫に拘禁された後、集団銃殺され、燃やされたことをはっきりと覚えている。また、おじの向忠林さんも旧日本軍に殺害された。2人の遺体を探している時、向さんは川辺に死体が山積みされているのを目にした。その後、向さんは両親と一緒に宝塔橋の難民エリアに身を潜め、何とか生き残ったという。
兄の遺影を持って「嘆きの壁」の前に立つ向遠松さん。
数年前までは体調に問題はなかったため、向さんは清明節(先祖を祭る中国の伝統的な祭日)や南京大虐殺犠牲者国家追悼日(毎年12月13日)になると、兄やおじの遺影を持って中国侵略日本軍南京大虐殺遭難同胞紀念館の犠牲者名が刻まれた壁(別名「嘆きの壁」)の前で、哀悼の意を表わしていた。生前、向さんは、「あの大虐殺事件が私の家族にもたらしたショックと悲しみは今も消えることはなく、一時も忘れたことはない」と悲痛な気持ちを語っていた。(編集KN)
向遠松さん一家が揃って撮影した写真。
「人民網日本語版」2022年12月8日