伝統文化を取り入れたリアルな中国菓子

人民網日本語版 2023年02月02日16:35

ちょっとお茶目でリアルな獅子頭に、京劇の女形の華麗で美しい髪飾り、上品で高級感あるバッグには実はある共通点がある。それは、これらはどれも食べられるという点だ。中国の伝統要素を取り入れたおしゃれな国産品のトレンド「国潮」スタイルの中国菓子がSNSで話題を集めており、獅子舞からインスピレーションを得た獅子頭の形をした中国菓子に、ネットユーザーからは、「すごすぎる!」といったコメントが寄せられている。

武楊さんが製作した中国菓子。

遼寧省瀋陽市の80後(1980年代生まれ)の「麺塑(しん粉細工)」職人である武楊さんはここ10年ほど、しん粉細工を中国の伝統的な菓子とコラボさせているほか、中国の伝統文化と組み合わせることで、見た目と美味しさを兼ね備えた新しいタイプの菓子作りに力を注いできた。武さんによると、「獅子頭の形をした菓子は、清末民初の武術家・黄飛鴻を描いた映画を見て、インスピレーションを得た。特に獅子舞の一つ『醒獅』の文化に魅了された」という。

そしてネットユーザーが様々な「失敗作」を披露しているのを目にした武さんは、ショート動画共有アプリ「抖音(中国版TikTok)」に獅子頭の形をした菓子の詳しい作り方をアップ。生地の捏ね方から、パイ生地のカットの仕方、揚げ方まで、かわいい獅子頭の形に仕上げるまでの過程をネットユーザーに分かりやすく丁寧に紹介している。

「獅子の頭の形をした菓子」を見せる武楊さん。

獅子頭の形をした菓子の各パーツは、水と粉で別々に生地を作った後、卵白でそれぞれのパーツをくっつけている。獅子の毛のフワフワとした感じを出すのは特に難しく、武さんは、油で揚げる前に、生地に切れ目を160ヶ所も入れているという。

10年前にしん粉細工の研究を始めた武さんは、生地の捏ね方や伸ばし方、カットの仕方、彫刻の仕方といったしん粉細工の各種スキルを、長い時間をかけて独学した。

140度まで熱した油で揚げると、毛がフサフサとした獅子の形をした菓子に出来上がる。

当初、芸術面での専門的な訓練を受けていなかったことが原因で、しん粉細工の各パーツのバランスや特徴をつかみ切れていないと感じた武さんは、ひたすら周囲の人々を観察し続け、そのバランスや特徴を学び続けた。そしてそうした努力を重ねたことで、彼の作るしん粉細工作品も次第にリアルな仕上がりになっていったという。

作る過程で少しでもミスがあると、揚げた時にきれいに仕上がらない。

獅子の頭の形をした菓子がネット上で話題を集めるにつれ、中国各地の菓子作り好きな人々から、そのスキルを学びたいと武さんに連絡がくるようになったという。武さんはこれまですでに1000人以上の生徒に教えてきた。そして、自分のスキルやアイデアが反映された生徒たちの作品を見ると、武さんも充実感を感じるのだという。

武楊さんが製作した中国菓子。

武さんは、「中国の伝統文化は、私が中国菓子を作る時のインスピレーションの源。今後は一人でも多くの若者がその文化に触れ、この技術がどんどん発展し、進歩していくことを願っている」と語った。(編集KN)

武楊さんが製作した中国菓子。

「人民網日本語版」2023年2月2日

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