中国科学院寧波材料技術・工学研究所インテリジェント医療イメージング(iMED)チームの趙一天研究員は取材に、「眼科画像の採取と画像のスマート化分析により、チームが開発した人工知能(AI)をベースとするスクリーニングモデルは、複数のコミュニティの人々を対象にアルツハイマー症をスクリーニングした結果、その正確度が75%に達した。目の構造変化と神経変性疾患の間の関係を深く分析することで、神経変性疾患の早期検査プランを潜在的に形成できる」と述べた。科技日報が伝えた。
網膜の構造変化とアルツハイマー症の関係を探るため、iMEDチームは四川大学華西病院、浙江省人民病院、北京大学第3病院、寧波大学附属人民病院など複数の医療機関と協力し、数多くのアルツハイマー患者の目・脳データを収集するとともに、光干渉断層スキャン血流表示(OCTA)の眼底画像を主な分析対象とした。
IMEDチームによると、光干渉断層スキャンは先進的な無侵襲イメージング技術で、網膜と脈絡膜を含む眼底の異なる深さの構造を表示できる上、眼底構造の血流変化を高精度でスキャンし、OCTA画像を生成できる。これはアルツハイマー症による眼底血管の変化に関する研究にとって重要な意義がある。
同チームは独自に開発したスマート分析アルゴリズムにより、アルツハイマー患者の眼底構造の自動量化を行うとともに導き出された生物指標と臨床データの横断的統計・分析を行った。分析によると、血管の密度、血管のフラクタル次元、血管の湾曲度などを含む複数種類の量的指標とアルツハイマー症の発症の間には顕著な関連性があった。この結果は臨床の先験的共通認識と一致する。
同チームはこれに基づき、血流イメージング画像情報に対して、先進的なAIモデルを設計することでアルツハイマー症の検査を行った。眼科画像をAIモデルに入力するだけで、被験者がアルツハイマー症を患っているかをスピーディに判断できる。
また同チームは脳卒中やパーキンソン病などの脳疾患の眼科画像分析とスマート診断モデルの構築を行った。その結果、一部の目の生物指標と発症の統計に関連性がいずれも見られ、複数種類の脳疾患のスピーディで便利なスクリーニングに新たなアプローチを提供している。(編集YF)
「人民網日本語版」2023年2月7日