「2022年中国文化・観光デジタルイノベーション実践事例トップ10」がこのほど発表され、西安城壁管理委員会による「デジタル化による西安城壁文化財保護と文化遺産伝承のサポート」事例がトップ10入りを果たした。各種デジタル技術によって、西安城壁は、よりバラエティに富んだ形で、その素晴らしい姿を人々に見せている。人民日報が伝えた。
西安城壁のパノラマビュー(写真提供・西安城壁管理委員会)。
昔ながらの姿を残す西安城壁は、すでに1400年以上の歴史がある。都市の発展や地下鉄の開通、沿線商業エリアの発展に伴い、保護の対象範囲は、城壁本体のみならず、木造建築や堀も含まれるようになり、その修理やメンテナンスの難易度はますます高くなっている。しかし、一連のデジタル技術の応用化を実現させることで、休憩を必要としない「見張り番」が城壁に登場した。
永寧門の壁面には、数十メートルおきに、3つの目立たない円柱が並んでいる。西安城壁管理委員会文保観光部の職員である解志遠さんは、「これは、バーチカル固定式傾斜計で、南門瓮城内壁の水平変位を高精度でモニタリングできる。傾斜計を始めとするモニタリング装置およびモニタリングチェックポイントが、全長13.74メートルに及ぶ城壁をカバーしており、城壁の壁体と付属する建築物の安全状況を監視している」と説明した。
西安城壁管理委員会文保観光部の責任者である高衡さんは、「堀沿いには、31ヶ所の地下水位モニタリングチェックポイントが設けられており、地下鉄が城門の下を通過するときの振動モニタリングチェックポイントも設けられている。これらのデジタル検査装置から提供される膨大な量のデータのおかげで、高精細化された城壁保護のためのしっかりとした基盤が確立されている。これらのデータをもとに、我々は、城壁文化財保護のための『4カラー』の等級別警報システムを構築した。城壁の沈下やひび割れに関する警報の閾値を設け、緑・黄・橙・赤の4色による等級別警報システムを導入し、各警告レベル別の対応措置を講じることにした」と紹介している。
「『頭が痛めば頭を治療し、足が痛めば足を治療する(根本的治療を施さず、その場しのぎの応急的な治療をする)』という方法から、『病気に至らない不調や症状が見られる未病の状態を把握して本格的な病になる前に対策をとる』予防措置へのシフトを実現したデジタル情報技術は、西安城壁の保護事業に根本的な変化をもたらした。今後は、さらに、3Dスキャンや自動モニタリングなどの技術や手段を駆使して、城壁の延命化に取り組んでいく」と高衡さん。