南京で昆劇・能楽・現代劇が共演 中日両国の役者が参加
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江蘇省の演芸集団昆劇院、日本の市民劇場「座・高円寺」、香港の劇団「進念・二十面体」の3つの芸術団が共催する「朱鷺(トキ)芸術祭」が26日に南京で開幕した。30日まで開催される同芸術祭は東京、南京、香港のアーティストたちが参加しており、日本の佐藤信氏、香港の栄念曽(ダニー・ユン)氏らアジア演劇界を代表する演出家が中日それぞれの伝統劇・現代劇アーティストたちと共に新たな異文化交流による舞台創造に取り組んだ。「揚子晩報」が報じた。
■10年前に無形遺産に認定された昆劇と能楽のコラボ
江蘇省昆劇院の李鴻良院長によると「朱鷺芸術祭」は「朱鷺実験計画芸術の保存と発展」プロジェクトの総決算であるという。このプロジェクトは2010年上海万博の日本館で上演された栄念曽氏と佐藤信氏のコラボによる昆劇と能楽を融合させたミュージカル作品「トキを救う」をベースにしている。栄念曽氏によると、中国伝統の昆劇と日本伝統芸能の能楽はともに10年前に世界無形遺産に認定され、その実演家たちとトキは絶滅の危機に瀕している境遇が似ていることから同プロジェクトは「朱鷺実験計画」プロジェクトと名付けられ、その保存と復興の呼びかけのもとに設立されたという。芸術祭以外にも、今年の夏にワークショップや講座、トークショーなども行われた。今回の朱鷺芸術祭は江蘇省の蘭苑劇場で5日間上演され、日本の能楽、伝統昆劇、実験劇など多種多様なパフォーマンスが行われる。日本の伝統芸能である能楽の舞台は26日にすでに上演され、能楽師の清水寛二氏は「楊貴妃」を、西村高夫氏は「天鼓」を演じた。
■能楽師が語る 昆劇は「艶やかで色っぽい」
中国の昆劇と日本の能楽の役者たちはお互いの舞台をどう見ているのだろうか?中国人からすると昆劇はおくゆかしく、非常に優雅な印象が強いが、能楽師の清水寛二氏(59)は「昆劇はとても艶やかで色っぽい。これは能楽の中にはないもので、うらやましいし、個人的にとても好きだ」と語り、意外にも「色っぽい」という言葉を使って昆劇を形容した。清水氏が演じた能楽「楊貴妃」の物語は白居易の「長恨歌」をリライトしたもので、その台本は600年前に書かれたものだという。清水氏は600年後の今日、能楽の「楊貴妃」が西に渡って南京の舞台に上がれたことを非常に光栄に思うと語った。「しかし、私が演じた楊貴妃と昆劇の中の楊貴妃はまるで違う。能楽の中の楊貴妃の動作は非常にゆるやかであり、恐らく寝てしまった観客もいるだろう。寝てしまった観客も、夢の中で能楽の楊貴妃を見ていたらいいのだが」(編集MZ)
「人民網日本語版」2012年12月28日