安倍氏は外交上の難題をうまく解決できるか (2)
■一時的譲歩
「タカ」はなぜ軟化したのか?
まず、安倍氏が選挙戦中に「タカ」色を鮮明にした理由をまず理解する必要がある。日本経済の長期低迷、社会矛盾の先鋭化を受けて、民衆は「政治に不信感、将来に不安、現状に不満を抱き」、危機感と焦慮感が社会に充満している。こうした社会的現実が日本の右翼思想に成長の土壌とパフォーマンスの舞台を提供した。政治屋として、票集めのためにはどんな手段も使うのは当然だ。選挙戦ではより誇張的、煽動的な発言ほど、より容易に飛び出す。
だがひとたび決着がつけば、国家全体のことを考える必要がある。票集めの政治屋思考はもう有効ではない。安倍氏の前に置かれているのは2つの大きな困難、つまり経済の停滞と、緊張した対周辺国関係だ。
安倍氏は首相就任後、初の外遊先として米国を訪問する方針をほぼ固めた。安倍氏は「失われた日米同盟の結びつきを回復する」ことを外交上の最優先課題として打ち出した。事実上、自民党は1950年代の結党以来、一貫して日米同盟を柱とする戦略を採用してきた。安倍氏が今回強調しているのは実際のところ、この戦略への回帰だ。
だが時代は変わった。今日の日本にとって米国のみに頼って自らの問題を解決することはすでに不可能だ。低迷する日本経済と異なり、中韓露を含む周辺国の経済はみな急速に成長している。こうした国々との関係悪化の副作用は、すでに貿易量の減少に顕著に現れている。これは日本経済にとって、泣き面に蜂に等しい。こうした時期に、近隣諸国に善意を示すことを選択するのは容易に理解できる。
米国でさえ日本の一層の急進化は望んでいない。米上院は21日に2013会計年度国防権限法を可決して、米日安保条約第5条の定める対日防衛義務を再確認したが、米国のリバランス戦略において、日本は「駒」に過ぎない。このため米国は意識的または無意識的に日本をそそのかしているが、第2次大戦後に形成された秩序を本当に打破する考えは全くない。米国は余りに急進的な日本を断じて望んでいない。ウォール・ストリート・ジャーナル電子版は23日、軍事的対立を避けるよう日本に呼びかける記事を掲載した。
だが安倍氏の軟化は一時的なものに過ぎず、来年夏の参院選で勝利することが目的との指摘もある。自民党は衆院で多数を獲得したが、憲法改正には衆参両院の3分の2以上の議員の賛成が必要なのだ。