小学校のクラス委員選に賄賂 大人の「裏ルール」が浸透 中国
北京市海淀区に住む小学5年生の強くんは、ここ数日落ち込んでいる。クラス委員長に立候補した彼は、選挙活動中、あるクラスメートにプレゼントを贈った。ほかのクラスメートがそのことをみんなに暴露したため、強くんは学級委員長に再選できず、中学進学時の成績優秀者選考における「学級委員活動による加点」を取得しそこねた。北京の小学校ではここ数年、強くんのように、学級委員長選出時にクラスメートに賄賂をおくるケースが決して少なくないという。賄賂は、大人社会に潜む「裏ルール」が学校の世界にも入り込んでいるという現実を示す一例に過ぎない。北京晨報が伝えた。
小学生の間に蔓延しつつある「裏ルール」を根絶するポイントは、中学進学時の成績優秀者選抜に関係する各種評価・選出方法にある。北京の進学中学校決定は、成績優秀者の推薦入学と「電脳派位(コンピュータを用いた地域別自動振り分け)」という2種類の方法で行われる。保護者の多くは、我が子を少しでも優秀な中学校に入学させたいと願っており、推薦資格を得るための競争がますます激化している。たとえば、西城区では、小学校の学区レベルでの「三好生(身体・学業・思想全ての面において優秀な学生)」の割合は平均30%だが、市レベルになると、この割合は5%だけになる。もし、ある児童がクラス委員に選ばれ、市・区レベルの「三好生」になり、相応の加点を獲得すれば、クラスメートのライバル達にかなり差をつけることができる。
記者は、このような現象に関し、市内6区の各小学校を取材した。各校のクラス担任や大隊指導員から徳育担当副校長に至るまで、成績優秀生の選抜に携わる教員は軒並み、「選出プロセスで保護者が及ぼす影響は、ますます普遍的なものになっている」と口を揃えた。石景山区にある小学校の徳育担当副校長は、同校で過去に起こったエピソードを紹介。「平素点は決して良いとは言えないある児童が、意外にも、クラス委員選挙で委員に選ばれた。クラスメートが、その子には選ばれる資格がないのではないかと疑問の声を上げた時、小学5年の当人はひとこと、『だって僕の家はコネがあるから』と答えた」。20年間教育に携わってきたこの副校長は、教室で子供が口にしたこの一言を聞き、途方もない恥ずかしさを感じたという。
21世紀教育研究院の熊丙奇・副院長は、「欧米諸国では、児童の代表であるクラス委員は、他人に奉仕するという気高い意識を養い、実践経験を積むためのポストとして位置づけられている。『裏ルール』が校内に蔓延している問題を解決するには、成績優秀者の選出と児童本人にもたらされる利益を、完全に引き離す必要がある」とコメントした。(編集KM)
「人民網日本語版」2013年1月8日