上海、都市管理員にエリート続々応募 「夢ない」の声も
上海青浦区の都市管理隊は2013年、違法建築や無許可営業などを都市管理関連法規に基づき取り締まる「都市管理員」60人を募集。数百人の申し込みがあり、うち180人が筆記試験に合格し面接試験に進んだ。180人のうち2人が復旦大学、上海交通大学、浙江大学などの博士課程を修了し、119人が修士課程を修了していた。さらに、英国で留学生活を終えた帰国者も1人いた。一般にエリートとされる高学歴者が、同職に続々と応募している現象に、ネットユーザーから賛否両論の声が寄せられている。中国経済網が報じた。
エリートが続々と都市管理員に応募している理由について、あるネットユーザーは「公務員と同じ待遇だから」とし、「都市管理の仕事自体に惹かれているのではない」と分析している。別のネットユーザーも、「地方の学生が大学院試験を受ける理由は上海の戸籍がほしいから。上海の戸籍は本当に魅力的」と、都市管理職員になることで上海戸籍が獲得できるのが理由と見ている。
近年、中国では同様のニュースが絶えず、ネットユーザーからは、「なんかつらい。一生懸命頑張って大学院試験を受け、博士課程まで修了したのは、一体何のため?最終的には結局、無難な仕事に就くためなのか。趣味や人生の理想など全部机上の空論になってしまう」と厳しい意見を寄せている。
また、別のネットユーザーも、「都市管理の仕事と公務員の待遇、一体どちらに魅力を感じているのだろう?前者なら、中国の都市管理の仕事は歴史に新たな1ページを刻むことになるだろう。一方、後者なら、高等教育は一体、どんな思想を持った人材を作り、学生がどんな職業計画を立てるよう促しているのか。1人の大学院生、博士課程学生を育成するのに、政府は多くの資金を投じている。それにより公務員を育成し、もたされる利益は同等と言えるのか?自分の職業計画や努力と公務員になることは一致しているのか?深く考えてみる価値がある」と指摘している。
一方、別のネットユーザーらからは、「公務員の待遇を売り文句に、高学歴の才能ある人材を集めるのはいいやり方。法律に基づいた文明化を推進することができるじゃない」「公務員の待遇っていいことじゃない。問題はエリートを選別できるか。現在、まさにエリートが集まっているのだから、いいことだ。古い考え方が邪魔しているように思う。修士課程や博士課程修了者が一般的な仕事に就いてはならないって、誰が言ったの?」など、肯定の声が上がっている。
このほか、保護者という立場から、「何十万元(10万元=約165万円)もかけて、子供を海外に留学させ、結局帰って来て都市管理職員?あり得ない」とする声や大学生の立場から、「修士課程や博士課程を修了していてもこんなものか。本当にショック」とする声など、自分の立場に照らし合わせたさまざまな声が上がっている。(編集KN)
「人民網日本語版」2013年5月10日