中国の帰省休暇制度が形骸化 今後廃止される可能性も
新たに改正された「高齢者権益保障法」が7月1日より正式に施行され、頻繁に帰省し高齢者に顔を見せなかった場合は違法行為となる。しかし他省で働く出稼ぎ労働者は帰省したくないのではなく、実際には休みが短すぎるのだ。連休さえ保証されていないのに、どうやって帰省しろというのだろうか?「帰省休暇」という32年間に渡り存在している休暇が、今再び注目を集めている。しかし「存在そのものを知らない」、「休みたくても休めない」、「時代に合わない」とされている帰省休暇制度について、多くの市民が議論を展開している。北京晨報が伝えた。
◆帰省休暇制度とは
子供の帰省を妨げているのは何か? 中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」を利用した調査の結果によると、4割のネットユーザーは、「仕事が忙しく、休みがあっても休めない」、3割超は「実家が遠く、交通費がかかる」と回答した。余裕があり安心もできる帰省休暇の取得は、多くのサラリーマン・OLにとっては贅沢なことだ。
実際には、帰省休暇制度は32年間に渡り存在している。配偶者や両親と長期的に別居している従業員の帰省問題を解消するため、1981年の第5期全国人民代表大会第17回会議は「国務院の従業員帰省待遇に関する規定」を可決した。同規定によると、国家機関・人民団体・全民所有制企業・事業単位で1年以上勤務している、配偶者や両親と別居しており公休日にも再会できない正社員は、20−45日の帰省休暇を取得できる。
32年が過ぎたが、この時代的特色あふれる「帰省規定」は、これまで一度も改正されていない。
◆外資系企業・民間企業は対象外
帰省休暇の規定は、ほぼ形骸化している。外資系企業・民間企業で働く職員や出稼ぎ労働者は、帰省休暇制度の対象から外されている。大手不動産企業の人事担当者の史さんは記者に対して、「当社には帰省休暇はおろか、国家の定める公休日さえない。民間企業の職員は、強制的な休暇を取得できただけでも満足しなければならないのに、強制的な休暇ではない帰省休暇など取得できない」と語った。
多くの人は、帰省休暇の存在さえ知らない。ある中型国営企業に勤務する徐さんは、「20日の帰省休暇が取れれば最高だ」と語った。徐さんは北京で5年間勤務しており、そのうちの1年の春節(旧正月)だけウルムチの実家に帰省した。行き来にかかった日数を除けば、両親と過ごした時間は4日間だけだったという。帰省休暇が設けられている企業でも、休めないという人が多い。北京市の某機関に勤務する公務員は、「一人が休めば、別の人が代わりに働かなければならない。そんなに長い時間休めば同僚に悪い」と述べた。
◆将来的に廃止される可能性
32年前の規定には、まだ効力が存在するのだろうか。北京漢卓弁護士事務所の周霞弁護士は、「法律レベルから言うと、1981年に制定された同規定は明文により廃止されていない以上、順守し続ける必要があり、廃止されるまでは法的な効力を持つ。この規定は時代的背景の産物だ。有給休暇制がなく、週休1日制で、法定休日が少なく、交通条件が発達していなかったため、国家は同規定を制定した」と指摘した。周弁護士は帰省休暇の未来を疑問視しており、「帰省休暇は選択可能な福利厚生であり、強制的な休暇制度でないため、うまく施行されていない。この法律が将来的に廃止される可能性は極めて高い」と語った。(編集YF)
「人民網日本語版」2013年7月3日