「中国のおばさん」の金購入をめぐる疑問に答える (2)
香港のジュエリー・アクセサリーチェーン「周大福」のスポークスマンによると、このたびの、メーデー(5月1日)の小型連休には来店者数が普段より50%増加したが、同社には十分な金の在庫があるので、生産加工担当者が残業してアクセサリー製品の供給が追いつくようにしたという。
李所長は、「在庫が少なくなり、不足したとしても、金が不足したり、ましてや払底したりするわけではない。世界全体では金の年間生産量は基本的に一定量で安定しており、世界各地の金の備蓄も相対的に安定している。数カ所で購入量が拡大したくらいで、金が不足するはずがない。金のアクセサリー製品は生活必需品ではなく、小売市場の業者たちが日常的に抱える在庫のほとんどは需要に応じて入荷するものであり、在庫が通常の需要を超えることはない。よって短期的な購入ラッシュが起きたときに、一連の商品の業者の在庫が一時的に不足するのは当たり前のことだ」と話す。
李所長の分析によると、購入ラッシュに対応するため、香港の一部の業者が英国・ロンドン市場から通常の数倍の量の金を購入したのは正常なことだ。バイヤーは商機をつかまえたいと願うものだからだ、という。
▽中国の購買力が世界の金価格に影響?
答え:国際市場の金価格は先物市場での取引で形成され、金現物の需要は金価格を決定する要因ではない。
中国のおばさんがウォール街をうち負かしたという見方について、中国黄金集団公司の関係者は、金はほかの商品と異なり、金融商品としての属性を備えているため、需給関係が金価格を決定するわけではない。過去10年間に金価格は上昇を続けたが、金の需給は一貫して安定していた、と話す。
李所長によると、国際市場での金価格の形成は、ロンドンとニューヨークの市場における金先物取引価格によって決まるのであり、これはつまり国際市場での金価格は先物市場での取引によって形成されるということだ。また金には金融商品としての性質やリスク回避の機能が備わる。金価格は米ドル建てで表示され、金価格と米ドル、金価格と米国のマクロ経済とは密接な関係があるからだ。取引に参加する者が米国経済や米ドルをどのようにみるかが金価格の行方を左右する。わかりやすくいうと、金価格が上がり続ければ資金を持続的に投入し、金価格が暴落すれば資金を突如として大規模に引き揚げるということだ。こうした資金撤退の背後には複雑な理論やロジックがあり、一連の現物購入くらいで阻止できるものではない、という。
▽金購入ラッシュをどうみるか?