「中国のおばさん」の金購入をめぐる疑問に答える
米国のニューヨーク証券取引所で先月15日、金の先物取引価格が大暴落すると、大陸部や香港地区、果てはアジアの各地で争って金を買い求める「金購入ラッシュ」が起こった。あるメディアによれば、中国の市井の消費者たちは10日間で300トンの金を購入し、この「中国のおばさん」と呼ばれる市井のパワーによって国際市場の金価格が安定し、中国のおばさんが米ウォール街の金融界の実力者をうち負かしたのだという。このデータはどこからきたものだろうか。大陸部や香港の市場は金不足なのだろうか。中国の金消費熱は金の空売りや反動を抑え、金価格を安定させることができるだろうか。こうした疑問に答えるため、「人民日報」の記者がこのほど調査・取材を行った。
▽中国の消費者が10日で300トンの金を買った?
答え:権威ある機関はこのデータを確認せず。今年第1四半期(1-3月)の金販売量は前年同期比10-15%増加の見込み。
中国黄金協会の張炳南秘書長(事務局長)は3日、中国のおばさんが10日で300トンの金の現物を購入したとのうわさについて、「(そのような事実を)確認していない」と述べた。張秘書長によると、同協会がまとめる金の統計データは1グラム単位に至る正確なもので、大きなまとまりのデータではない。4月には確かに金の販売量と加工量が爆発的に増加したが、同協会の統計は月ごとに作成されており、第1四半期のデータは10日にならないと発表されない。2012年同期の販売量は255.2トンで、今年はこれより10-15%増加することが予想されるという。
平安期貨(先物)研究所の李建春所長も、「今はまだこうしたデータを正式に発表した機関はなく、証明するのはかなり困難だ。(データ採取の対象の)範囲が広すぎるからだ」と話す。
▽購入ラッシュで金が不足?
答え:金の実態市場は巨大で、金不足が出現するということはあり得ない。アクセサリーの加工に時間がかかっているだけ。
購入ラッシュが金不足を招くかどうかについて、JPモルガン・チェースの投資銀行部門アジアエリアの方方副主席は次のような見方を示す。金の実態市場は巨大であり、本当に金不足が起こるということはあり得ない。金をアクセサリーに加工するのに時間がかかっているだけだという。