中国の高速鉄道、タイ進出図る ライバルは新幹線 (2)
だが専門家によると、中国の最大のライバルはやはり日本の新幹線技術。日本企業はタイで早くから広範な準備を進めており、一部ではすでに協力関係を結んでいる。東日本旅客鉄道(JR東日本)は先日、丸紅と東芝と連携し、バンコクの都市鉄道の約400億円の大規模事業を受注した。
▽高速鉄道をめぐる中国の外交
高速鉄道に関して中国とタイに協力の土台がないわけではない。今年10月下旬、中国鉄路総公司の中国タイ鉄道プロジェクト協調チームの黄弟福・代表はタイで、両国政府が2012年4月に鉄道発展の協力に関する了解覚書を交わして以来、「双方はタイの鉄道発展について幅広く立ち入った交流と研究を進めてきた」と説明した。
南京大学商学院の宋頌興教授によると、良好な政治関係は、中国とタイが高速鉄道プロジェクトを協力進展するための土台となり、協力の最大の障害を回避することにもつながる。
注目すべきなのは、11月15日、「中国国家発展改革委員会の副主任が率いる訪問団がタイに赴き、高速鉄道の協力合意を結んだ」との情報が市場に流れたことである。中国とタイとの高速鉄道プロジェクトでの協力はすでに決まったものとの見方もある。だがこの情報に対して、中国とタイは正式な回答を行っていない。
「中国には高速鉄道プロジェクトで一定の強みがある」と、中国工程院の院士でもある中国中鉄隧道(トンネル)集団の王夢恕・副総エンジニアは語る。「中国の高速鉄道技術は、欧州から技術を導入し、これを吸収・消化することで成長したもの。中国独自のイノベーションも加えられている。また中国の高速鉄道の運行距離は、ほかのすべての国の運行距離の総和に匹敵している。運行の規模や経験の蓄積はほかの国と比べ物にならない。寒冷条件での高速鉄道建設についても中国は経験を積んでいる」。