日本電機大手、風向きを見て舵を取るべき (2)
パナソニックは家電事業のハイエンド・ローエンド市場で比較的高いシェアを維持しているが、テレビ・フラットパネル市場ではモバイル端末市場に劣らぬ競合が展開されている。パナソニックは革新力不足によりテレビ事業で毎年赤字を計上しており、企業のキャッシュフローを著しく損ねている。
ソニーやパナソニックより「悲惨」なのは、シャープだろう。同社の売り上げは液晶テレビ・フラットパネル事業、および太陽電池事業に大きく依存しているが、市場では競合が激化しており、供給過剰に陥っている。勝者が大部分のシェアを占めることが同市場の特徴となっているが、残念ながら同市場のトップ企業はサムスンで、シャープではない。
観察期間をさらに延長すると、3社の現在の苦境が、共通の特徴と原因を反映していることが明らかになる。つまり技術・市場の流れを随時把握し、果敢に変化を求める意志と力が不足していると言える。あるいは、3社がこの企業の基盤ともなる品格を失い始めているとも言える。
格下げの歴史と株価の動向を振り返ると、フィッチの3社に対する格下げは、2008年中期から始まる。当時のソニーの格付けはA-、パナソニックはAA-、シャープはA+であったが、現在までに3社はそれぞれ6・8・11段階格下げされている。これに伴い3社の株価が続落し、企業の時価総額が減少し、役員人事に激しい変動が生じ、リストラと部門再編が迫られている。