安倍氏の過激な刺激策 過去のミスの繰り返しに (3)
野村證券のリチャード・クー(中国名:辜朝明)氏は、「バブル経済崩壊後の日本企業は、表面化している以上の損失を被った。企業は1990−2005年に渡り、経営利益によりこの損失の埋め合わせをしていた。限られた資金は企業の借入を促さず、むしろ企業は借金返済を続けている」と指摘した。これは日銀の大規模な金融緩和にも関わらず、資金が実体に流入しない原因をある程度説明している。しかしこれは、2005年から現在に至るまで、企業の投資意欲が依然として低下していることの説明にはならない。
日本経済の問題解決に関する長期的な議論により、金融派・財政派・構造派が形成された。無制限の金融緩和により日本の経済問題が解決されるという理論はすでに淘汰されている。財政派の、政府投資が経済のより深刻な低迷を防ぐという意見は一部の事実を言い当ててはいるが、史上例を見ない規模に達した公共債は、将来の最大の脅威になっている。日本は米国のように外資の流入に依存することはないが、膨大な債務が現在までに崩壊していない主因は、ゼロ金利だ。ゼロ金利が終了した場合、日本の債務は爆弾のように破裂するだろう。財政派は、債務が経済を好転させるため、債務の膨張を恐れる必要はないとしている。しかし経済が好転した場合、ゼロ金利が終了を迎えることになる。財政派の考え方に従うならば、日本には次の二つの選択肢しか残されていない。つまり債務の増加を続けるか、経済好転により債務の破裂を招くかだ。どちらの選も結局は失敗に終わるだろう。
日本のミスは短期的な財政にあったはずだが、金融政策の長期化に伴い、非定期的な政策を定期的にしてしまった。日本の長期的・根本的な問題は、構造にある。高齢化、内需と外需の不均衡、閉鎖的な市場、人材市場の弾性の不足、閉鎖的な文化、新たな世界イノベーション競争における敗北、時代遅れの産業政策が徹底的に改善されなければ、日本の経済成長率は低水準を維持するだろう。需要管理政策が奏功しないことは、過去20年間ですでに証明された。安倍政権はこれらの政策を激化させようとしているが、市場を一時的に刺激するがせいぜいだ。長期的に見れば、安倍氏の政策は根本的な問題を解決する難易度をさらに高めるだろう。(編集YF)
「人民網日本語版」2013年1月8日