日本の金融緩和が中国にインフレ圧力をもたらす
欧米の経済体が相次いで量的緩和政策をうち出したことにともない、特に日本の中央銀行(日本銀行)が無制限の金融緩和をスタートしたことにともない、一部の経済体では通貨切り下げの傾向がますます顕在化している。円安の影響を受けて、韓国ウォンをはじめとする一連の通貨が弱くなり、通貨切り下げのドミノ倒しが起きている。「重慶日報」が伝えた。
招商銀行のシニア金融アナリストの劉東亮氏は、「目下の東アジア地域の通貨情勢を『通貨競争』と呼ぶことはできないが、ある程度の競争的な通貨切り下げが徐々に表面化している」と話す。
先進国の通貨が競うように切り下げられ、輸出を主な牽引力とする新興市場国に与える影響は言うまでもない。1930年代には隣国を利用して自国の問題を解決するという貿易戦争が起こったが、一部の先進国はその再演を懸念し、また流動性の氾濫が自国の実体経済にダメージを与えることを心配する。
中国社会科学院(社会科学アカデミー)世界経済・政治研究所国際投資研究室の張明副主任は次のように指摘する。円の切り下げによる拡散効果は次の3つの点に現れている。一つ目は、他国に通貨の切り上げ圧力を与え、通貨競争や貿易摩擦の激化をもたらしていること。二つ目は、グローバル短期資本の流動の規模と変動性を増大させていること。三つ目は、世界のエネルギー価格と大口商品価格を高止まりさせ、中国を含む国々に輸入型のインフレ圧力を与えていること、の3点だ。
貿易ルートへの影響だけでなく、日本の極端な金融緩和政策は国境を越えた資金の流動となって中国にも影響を与える可能性がある。経済学者の彭文生氏によると、円の地位は米ドルの地位とは大きな開きがあり、このたびの日本の通貨緩和の取り組みの規模は米国の取り組みよりも小さい。よって日本の政策が与える影響は米連邦準備制度理事会(FRB)が与える影響よりも小さいという。(編集KS)
「人民網日本語版」2013年2月19日