日米の金融緩和 金融ナショナリズムは誰に利益をもたらすか
2013年に入ってからというもの、世界金融市場は一つの新政策により狼狽しきっている。それは安倍晋三首相が就任後に推進している、無制限の金融緩和政策、俗称「アベノミクス」だ。過去2カ月間で円安が進行し、世界市場主要通貨に対して約20%の円安が生じている。北京晨報が伝えた。
日本と米国は足並みをそろえるようにして紙幣を大量発行し、円安・ドル安を誘発している。一部の国家の中央銀行は金融緩和策を迫られており、金融戦争が欧州・新興国に波及しようとしている。欧州中央銀行、韓国、タイなどの経済体はすでに、金融緩和について検討を始めているという。
金融戦争が一触即発となる中、G7はこのほど会議を開いたが、最終的に「為替相場を市場の決定に委ねる方針を維持する」という原則的な言葉でお茶を濁した。このほど開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議でも、「量的緩和」に対する明らかな反発は見られなかった。世界の各主要経済国は、金融戦争を引き起こすという暗黙の了解に達したかのようだ。
G7もしくはG20が真の意味での「金融戦争」を起こした場合、世界経済はどうなってしまうだろうか。最悪の場合、人類は再び金本位制の時代に戻る可能性がある。金以外に、信用できる価値を持つモノがないからだ。この可能性に疑問を呈する声もあるが、世界黄金協会がこのほど発表したデータによると、世界中央銀行が2012年に購入した金は535トンに達し、48年ぶりの高水準に達した。
金融戦争が起これば人類社会が「石器時代」に後戻りする可能性もあるが、それが勃発する前に、金融緩和を推進する人々にとって予想外の出来事が起こっている。