円安が金融戦争の幕開けに 中国への影響は? (2)
中国社会科学院世界経済所国際投資室の張明副主任は、円安による影響は次の3つにまとめられるとした。(1)他国に相場上昇の圧力を及ぼし、為替相場を巡る戦争が発生し、貿易摩擦がエスカレートする可能性がある。(2)世界の短期的な資本流動の規模と変動性を拡大する。(3)世界のエネルギー資源・大口商品価格が高位を推移し、中国を含む国家に輸入インフレの圧力をもたらす。
中国国際金融有限公司(CICC)の彭文生シニアエコノミストは、「人民元の対円レートが20%上昇すると、中国の実質実効為替レートを約1.5%引き上げ、中国の実質的な輸出額を2.5ポイント引き下げる可能性がある。しかし中日二国間貿易において、対日輸出の重要性がすでに大幅に低下しているため、円安が中国の輸出に与える負の影響も減少している」と分析した。
彭氏は、「中国の今年の対日輸出額は、最大で4ポイントの小幅減少が生じる。食品・飲料、動植物商品、木製品、紡績品などの一部業界に、比較的大きな影響が生じる。第三国への輸出について、円安は中国の印刷機械、自動車部品、テレビ、トランジスタの輸出を脅かす」と予想した。
貿易ルートへの影響の他に、日本の極端な金融緩和策は、クロスボーダーの資金移動により中国に影響を与える。しかし彭氏は、「円の地位は米ドルに遠く及ばず、また今回の日本の金融緩和は米国の規模を下回っているため、連邦準備理事会による量的緩和による影響を下回るだろう」と指摘した。(編集YF)
「人民網日本語版」2013年2月20日