中国とスイスが経済貿易協力を深化 EUに先駆けて
商務部(商務省)の高虎城部長とスイスのヨハン・シュナイダー-アマン財務大臣は6日に北京で、中国-スイス自由貿易協定に調印した。中国と欧州の大陸国家との間で自由貿易協定が締結された初めてのケースであり、双方の経済発展に深く大きな影響を与えるものとなる。また同協定により、中国と欧州との経済貿易関係が継続的に深まることが予想される。(文:張健・中国現代国際関係研究院欧州研究所所長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
同協定は全面的で水準が高く、相互利益の協定だ。この協定で関税が引き下げられる一部の製品を加えると、スイスの製品の99.99%と中国の製品の96.5%が関税を引き下げることになる。これは一般の貿易協定における90%の水準をはるかに大きく上回るものだ。協定では環境、労働者と雇用契約、知的財産権、政府調達の情報交換、競争など多方面にわたり新たなルールがうち出されている。同協定に調印したことは、中国とスイスの経済貿易関係発展の里程標であり、経済貿易分野における両国の高度な信頼関係を十二分に示すものだ。スイスのこうした態度は、中国の完全な市場経済国としての地位を認めたがらず、中国に対してしばしば保護貿易主義を発動してきた欧州連合(EU)と鮮明な対照を成すものだ。この協定により、スイスは中国市場への進出をめぐる競争で著しく有利な立場に立つことになる。
スイスは小国だが、経済が高度に発達した国で、開放的な考え方をしており、欧州諸国の中で最も早く中国市場に進出した国の一つだ。中国の完全な市場経済国としての地位を承認したのも2007年と早い。スイスは承認によって利益を損なわれることはなく、それどころか中国との協力の中で実利的なメリットを得ることができ、中国から貿易黒字のメリットを得た数少ない欧州国家の一つになった。中国と欧州の関係を振り返れば、EUは中国の完全な市場経済国としての地位を認めず、中国のハイテク製品の輸出を制限し、保護貿易主義を押し通してきた。たとえば太陽光パネルを対象とした反ダンピング・反補助金調査の問題は、中欧間で、ひいてはEU内部で大いに物議を醸した問題だ。どうして中欧間にはこのような問題が存在するのだろうか。これはEUがまだ自分たちの態度をしっかり整えていないことによる部分が大きい。EUは中国の発展に直面して、主体的に対応し、自身の競争力を高めることはせず、保護貿易主義に訴えることばかり考え、「欧州を守るとりで」を築こうとしてきた。長期的にみて、こうしたやり方はEU自身の利益に合致しない。よってスイスの事例がEUに与えるヒントは、態度を改め、開放を進め、保護を控えるというものだ。