自動車製造は「プラスチック時代」を迎える
BMWライプチヒ工場の最新の生産ラインでは、多くの資源が節約されていた。鋼板を車のボディにするための大型プレス機もなければ、車体に塗装とサビ防止を施す工程もなく、部品を車体に取り付ける時もボルトや溶接ではなく強力接着剤を使用していた。BMWのローランド・クルーガー社長は、「これは当社が率先して、大量の炭素繊維強化プラスチックを自動車製造に利用しているからだ。これは自動車の車種の構造を変えるだけでなく、自動車製造工程全体に根本的な変化をもたらすだろう」と語った。人民日報が伝えた。
◆プラスチック車、大規模生産が可能に
BMWは今年秋に、電気自動車(EV)のBMW i3を量産化する。この車の最大の特長は、ボディにプラスチックを、下部ユニットにアルミ合金を使用した点で、伝統的な同型車種と比べ重量が250−350キロ減少した。新型複合材料の炭素繊維強化プラスチックは、軽量・高強度・防腐食・耐振動といった特長を持つ。しかし業界内では、コストが高く加工が複雑とされており、現時点ではレース用のスポーツカーや一部の高級スポーツカーにしか使用されていない。
クルーガー社長は、「BMWは大規模生産の中で炭素繊維強化プラスチック技術を使用している唯一の自動車メーカーだ。同技術の使用により、自動車の製造コストが10年前より半減した」と語った。BMWは現在需要に基づき、炭素繊維強化プラスチック部品の成分・強度・形状を自由に定めている。同技術で重要になるのは、樹脂と固化剤の完全融合の加速と固化にかかる時間だ。通常なら単独の溶鉱炉内で24時間がかかるが、BMW i3生産ラインはこれをわずか数分に短縮した。炭素繊維強化プラスチックの使用により、運転席に必要な部品が伝統的な自動車より減少し、新型の強力接着剤によりボルトや溶接が必要なくなった。1台のBMW i3を生産する際に、この強力接着剤が10キロ使用される。
プラスチック車の安全性について、自動車安全・メンテナンスの専門家のウォルフガング・ハン氏は、「BMW i3は35種の衝突の可能性を検証し、厳格な安全テストに合格している」と語った。記者が衝突実験用の車を見ると、ドアの下に位置する炭素繊維強化プラスチックが、衝突により紙のように丸まっていたが、運転席は無事だった。ウォルフガング・ハン氏は、「同実験は自動車の胴体部分が時速32キロの衝撃を受けた場合をシミュレーションした。炭素繊維強化プラスチックは蜂の巣状に設計されており、衝撃の威力を下部ユニットに分散化でき、運転席とバッテリーの安全を保障できる」と話した。