中国人科学者、細胞「初期化」のメカニズム発見
中国科学院広州生物医薬・健康研究院の裴端卿・鄭輝氏らの研究チームはこのほど、新たな細胞生物学のメカニズムを発見した。これにより、iPS細胞(誘導多能性幹細胞)技術の臨床への応用が後押しされる可能性がある。同成果は26日、「Nature Cell Biology」誌オンライン版に掲載された。新華社が伝えた。
iPS細胞とは、普通の体細胞を胚に似た未分化の状態にまで戻した(初期化)もので、これを再分化させることにより、人体のほとんどの細胞を得ることができる。同技術を確立した京都大学の山中伸弥教授と英国のジョン・ガードン博士は2012年、ノーベル医学・生理学賞を受賞した。この細胞レベルの「若返り」には、多くの生命の神秘が隠されているが、現在のところ、未解明の部分も多い。
裴端卿氏らの研究チームは2010年、この細胞「初期化」のプロセスは、間葉系細胞から上皮細胞への移行を原動力にしていることを発見した。同研究チームはその後、変化因子の順序を調整することにより、間葉系細胞から上皮細胞へ移行する前に上皮間葉移行(EMT)のプロセスがあることを発見、こうした幾度にもわたる移行が初期化の効率向上に役立つ事を証明した。このメカニズムはiPS細胞研究を理論・実践面で後押しし、パーキンソン病など変性疾患の幹細胞治療に向け、新たな手段を提供する可能性がある。(編集SN)
「人民網日本語版」2013年5月27日