海水淡水化産業が一定規模に、海南省で試験稼働を開始
海南省楽東黎(リー)族自治県の尖峰リョウ鎮でこのほど、中国初となる太陽光利用の海水淡水化プラントのモデルプロジェクトが稼働開始した。1期プロジェクトの年間平均生産量は蒸留水2000トンに達し、100−150人の1年分の飲料水に相当する。海南日報が伝えた。
上海驕英能源科技有限公司の彭志剛総経理は、「モデルプロジェクトは、海南省の20万トン級太陽光利用の海水淡水化プラントの重要な一部分だ。モデルプロジェクトの稼働開始後、当社は産業化プロジェクトを推進し、澄邁老城開発区で20万トン級のプラントを建設する予定だ」と語った。
同社は線形フレネル太陽光蒸気、低温・多面効果海水蒸留淡水化技術の実行性と信頼性を検証し、今後の産業化の基礎を固めるため、2012年11月にモデルプロジェクトの建設を開始した。
全世界の100立方メートル/日以上の海水(かん水)淡水化設備の設備容量は1日当たり3250万立方メートルに達し、一億人余りに提供されている。中国は水資源の乏しい国であるため、政府は近海都市に対して、海水淡水化により都市の増加する水需要を賄い、水資源構造を改善し、都市部の淡水資源不足の問題を解消するよう奨励している。中国の海水淡水化産業はすでに一定の規模を形成しており、海水淡水化プラントを自主的に設計・建設できる数少ない国の一つになっている。
しかしながら海水淡水化の将来性に対して、海南天能電力有限公司の李暁剛董事長は慎重な態度を示し、「主な問題はコスト面の問題だ」と指摘した。現在の水道料金に基づくと、海水淡水化のコストは割高で、水道水よりも競争力が低い。同社の海水淡水化実験プロジェクトの担当者は、「現在の実験装置は発電の余熱を利用し海水淡水化を実施しているが、そのコストは1トン当たり約30元(約480円)となっている。大規模なプロジェクトが稼働を開始すれば、生産される水のコストは1トン当たり約3元(約48円)まで下がるだろう」と語った。