極地観測船「雪竜号」が南極の流氷の中から脱出すると、もう一つの朗報が伝わった。上海大学と中国極地研究センターが共同開発した極地漫遊球形ロボットが、中国の中山基地から10キロ付近のエリアで初のデータ収集およびデータ伝送試験に成功した。伝送された大気に関するデータは、検査の結果すべて正確であることが確認された。この直径2.8メートルのロボットは風力により動き、内部の機材は太陽エネルギーによって稼働する。同ロボットは特殊な地域の環境を分析し、さらには大気循環の流れを観察することが可能だ。将来的には中国の極地、特に極地内陸部の科学観測の武器になるだろう。上海大学機械・自動化学院の課題チームのメンバーらは、このロボットに「大球」という名をつけた。解放日報が伝えた。
各国は現在、極地に対する注目と研究を強化している。現地の気象・地形条件が複雑なため、「ロボットによる科学観測」が技術の主流の一つになりつつある。各国は現在、ロボットの操作性に力を入れており、動力源を電力もしくは燃料としている。しかしこれは知らぬ間にロボットの活動範囲を狭めている。現在の最大半径は50キロであるが、広大な南極大陸にとって、この活動範囲は微々たるものだ。いかにロボットをエネルギーという目に見えない束縛から解き放ち、機動性を高め、より遠くに向かわせるべきだろうか?米国や中国の科学者は近年、この問題を巡り力を注いでいる。
プロジェクトチームの責任者である羅均教授は、「大球の設計当時の構想は、風力だけで物理的な移動を実現することだ。これはつまり、風に吹かれるまま移動することを意味する。内部の測量・伝送設備は太陽パネルの提供する電力で稼働する。理論的には、太陽パネルが壊れなければ、いつまでも作業を続けられることになる」と説明した。このような設計は、ロボットの移動に対する制御を完全に放棄しているが、科学観測の範囲を大幅に拡大した。一度に数十体のロボットを使用し、衛星測位システムやデータ伝送システムと結びつければ、操作可能なロボットによる科学観測、人の手による科学観測を補完する新たな観測手段になるため、重大な意義を持つ。このロボットが球形にされたのも、風による移動と障害物の突破を容易にするためだ。(編集YF)
「人民網日本語版」2014年1月9日