米国のオバマ大統領は北京APEC出席の機会を利用して中国を公式訪問し、習主席と長時間の公式会談、非公式会談を行った。オバマ大統領の訪中は1期目の初訪中から5年ぶりだ。両首脳は昨年米国サニーランズでも会談した。この両訪問、両会談は脆弱性と強靱性の併存、競争と協力の併存、相互信頼と相互疑念の併存という中米関係の三大特徴をはっきりと示し、中米の新型の大国関係構築の重要性、複雑性、実行可能性を明らかにした。(文:華益文・国際問題専門家。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
こうした背景の下、北京での中米首脳会談が多くの成果を上げたことは、少なからぬ人々にとって意外だった。「中米気候変動共同声明」を発表し、2020年以降の各自の行動目標を明らかにし、気候変動国際交渉の2015年パリ会議での妥結を共同で後押しするとしたことなど、突破口的、一里塚的意義を備えると言える成果もいくつかあった。
かつて両大国が国際交渉で陣営を分かち、「一触即発」の状態にあった争いのある議題で、意外にもこのように突破口を開き、長年停滞している気候変動国際交渉に前進の原動力を与えた。両国は「情報技術協定」製品範囲拡大交渉の早期再開でも合意した。もしこれが妥結すれば、世界貿易機関(WTO)設立から19年間で初の関税減免協定となり、WTOの多角的交渉機能に対する人々の信頼を大いに高める。双方は投資協定交渉、両軍関係、腐敗対策協力などでも前向きな進展を得た。
両訪問、両会談で、中国側は「太平洋には中米両国を収めるに十分な広さがある」と繰り返し強調。米側は「平和で、繁栄、安定し、国際的にさらに大きな役割を発揮する中国を歓迎し、支持する」と繰り返し強調した。双方が相手国に対してこのような姿勢を繰り返し表明したのは、互いの戦略への疑念や懸念を減らすためだ。中米両大国間には「信頼赤字」が存在するとよく言われる。近年両国のパワーバランスが変化していることから、双方は相手国の戦略の意図に対して高度に敏感になり、自国は十分に合理的だと思う行為でも、相手国からは「居丈高」なもので、自国に対する牽制、排斥だと受け止められてきた。中国側が提唱した新型の大国関係の構築という考えに対してすらも、米側はためらいを見せた。中米首脳会談がこれほど多くの合意と成果を上げられたことで、両国間に基本的相互信頼があることがはっきりと示された。だが、互いの戦略に対する疑念の解消にはほど遠い。
両訪問、両会談の政府側発言を検索すると、「協力の推進、溝の管理・コントロール」が双方の多用する表現であることが分かる。これは中米関係に対する客観的で前向きな姿勢だ。中米首脳会談の真髄はここにあり、中米関係に対する戦略的意義もここにある。(編集NA)
「人民網日本語版」2014年11月14日