第10回「北京-東京フォーラム」は9月29日、東京で閉幕した。「北東アジアの平和と中日両国の責任――対話の力で困難を乗り越える」がテーマの今回の会議には、中日両国から各界の代表が出席し、両国関係の発展が直面する各種の問題について、率直で立ち入った交流と意思疎通を行った。会議の最後に発表された「東京コンセンサス」は、「目下の中日関係は国交正常化以来の最も厳しい状況にあり(中略)これは両国民ひいては国際社会にとっても望ましいことではない」とし、「歴史認識問題と双方の領土をめぐる問題に適切に対処することは、中日関係を改善、発展させる上で極めて重要である」との認識を示した。(文:厖中鵬・中国社会科学院日本研究所学者)
中日双方の代表はフォーラムで、中日関係をいかに発展させるかを熱く議論し、優れた見解をいくつも打ち出した。これに関連して連想してしまうのが、中日関係の今後に対して安倍内閣が取る態度である。安倍内閣は、「日本の対話のドアは常に開いており、前提条件なしでの日中間の首脳会談を希望する」と繰り返し呼びかけている。だが日本で右翼勢力が伸長していることを考えると、また安倍首相本人の右翼的な思想と行動を見るにつけ、安倍内閣の「日中首脳会談」への呼びかけにどれほど誠意があるのかには疑問を抱かざるを得ない。
中日関係の今日の行き詰まりは、中日友好を求める人々の望むところではない。行き詰まりの根本的な原因は、日本の右翼勢力と安倍内閣の行動が、国交正常化後に両国の首脳と国民が丹念に培ってきた政治的な相互信頼を破壊したことにある。こうした破壊は、中日間の4つの重要な政治文書の精神から大きく逸脱したものである。「破壊はたやすいが、再建は難しい」と言うが、中日関係の行き詰まりはまさにそれである。
「千里の道も一歩から」「言葉よりも行動」「虎の首に付けた鈴を外すのは鈴を付けた人にしかできない」。中国には良いことわざがたくさんあるが、現在の中日関係にもこれらはあてはまる。つまり、関係の行き詰まりは日本側が引き起こしたものである以上、日本が先に現実的な行動、心からの誠実な行動を取って、行き詰まりを打破しなければならない。またその行動は、日本の一時的な調子合わせであってはならず、うわべだけの言葉であってはならない。そのような行動では、中日関係の緩和を促進することはできない。