複数の外国メディアは27日「南中国海問題に対する立場を変えては祖先と先人に顔向けできない」との見出しで、同日の第4回世界平和フォーラム昼食会での中国の王毅外交部長(外相)の発言を報じた。環球時報が伝えた。
ロイター通信によると王部長は「伝統的国際法に基づき、南沙(英語名・スプラトリー)諸島に対する中国の主権には十分な法理上の根拠と事実の根拠がある」と表明。「1000年以上前から航海大国だった中国は、当然南沙諸島を最も早く発見、利用、管轄した国だ」と述べた。
報道によると王部長は「第2次大戦時、日本が南沙諸島を侵略し占領した。第2次大戦終結後、中国政府はカイロ宣言、ポツダム宣言といった一連の国際条約・協定に基づき、法にのっとり、公に南沙諸島を取り戻した。当時中国と米国は同盟国であり、中国側人員は米国の軍艦で南沙諸島回復に向かった。1960年代に南中国海で石油が発見されると、一部の国が南中国海の島や礁を不法に侵略・占領、蚕食し始めた。したがって、事実上中国はこの問題の最大の被害者だ」と強調した。
フィリピンのGMAニューズオンラインによると、王部長は「中国は南沙諸島に対する領有権主張を拡大したことはないし、縮小することも断じてない。さもなくば祖先と先人に顔向けできない。中国の領土主権と権益を蚕食・侵犯する行為をこれ以上続けさせるわけにもいかない。子孫と後の世代に申し開きが立たないからだ」 と述べた。
日本メディアは中日関係に関する発言に強く注目した。朝日新聞の28日付報道によると、王部長は「日本と平和的に付き合う中国の政策に変わりはない」「だが中日関係の問題は根本的に言って、日本が最大の近隣国である中国の再度の発展と台頭を心から受け入れ、歓迎できるかどうかにある」「日本はまだこのための十分な準備ができていないようだ」と述べた。朝日新聞は王部長の発言について、近年国際社会における中日両国の地位の変化への日本の危機感が、中日関係に摩擦が生じた背景との見方を示したものだと指摘。「日本は変化を直視すべきだ」と促す意味も含まれるとした。TBSテレビは28日、王部長は発言を通じて安倍首相が夏に発表する予定の戦後70年談話も牽制したと報道。王部長が「日本が歴史問題をどう処理するかについて、国外的には参考にできる他国の経験があり、国内的には平和を訴える声が高まり続けている。日本の指導者は歴史の被告席に立ち続けることを選択するのか?それとも特にかつて日本に侵略され、傷つけられた国との和解実現を選択するのか?」と述べたことを報じた。読売新聞は中国側の今回の発言について「本音が出た」ものとの見方を示した。(編集NA)
「人民網日本語版」2015年6月29日