米国の複数のメディアは1月30日、米軍のイージス艦が事前通告なしに中国の西沙(パラセル)諸島海域に進入したとのニュースを報じた。中国の外交部(外務省)や国防部(国防省)など関連機関は迅速に反応を示した。米軍艦による南中国海への侵入は昨年10月27日の南沙(スプラトリー)諸島周辺海域に続くものだ。(文:蘇暁暉・中国国際問題研究院国際戦略研究所副所長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
前回と比べ、米側の今回の行動は一層重視に値する。
第1に、行動前に米国は公然と世論を盛り立て、軍事行動の伏線を張った。数カ月来、米メディアは南中国海問題を騒ぎ立て続けてきた。最近、米国務長官はアジアを訪問し、南中国海問題において共同して中国に向かい合うようASEAN諸国を煽動した。米太平洋軍司令官は演説で、米側のいわゆる「航行の自由行動」が数量、範囲、複雑性を高めると言明した。
第2に、行動地点の選択に「下心」があった。米国は、1996年5月15日に中国政府が「中華人民共和国領海及び接続水域法」に基づき「領海基線に関する声明」を公布し、これに中国大陸領海の一部基線と西沙諸島の領海基線が含まれることをよく分っている。勝手に西沙諸島に侵入するのは、明らかに確信犯だ。
第3に、行動後に影響を拡大した。米国防省高官はメディアに「ネタを与え」、いわゆる航行の権益と自由の維持について大いに語った。
米国がこれほど入念に計画するのには、中国を挑発し、南中国海での正当な権益維持行動を妨害し、島・礁建設活動を中止させる意図がある。米側の激しい勢いに対して、中国は相対的に自制的な反応をした。中国の島防衛部隊と海軍艦艇・航空機の反応は迅速かつ適切であり、米軍艦艇・航空機に対して識別・調査を行い、退去するよう警告したが、それ以上の行動は取らなかった。中国政府側の姿勢表明は、米軍艦が中国の西沙諸島領海に侵入したことに厳正な立場を表明し、警告し、中国の法律を尊重し、遵守し、中米間の相互信頼と地域の平和・安定を重視するよう促すものだった。