甘粛省平凉市にある崆峒山では、中国武術・崆峒(こうど)派に伝承される秘拳「花架拳(かかけん)」の第十一代掌派者である花舞影(かぶえい)さんが、朝げいこをする姿が見られる。還暦を迎えている花舞影さんは、1987年に崆峒派に出会い30年以上もけいこを続け、今では毎日指導に当たっている。花舞影さんにとって、中国は第二の故郷であるだけでなく、ここで重い責任を担っている。中国新聞網が報じた。
「武」ときっかけに中国人師匠と結婚
花舞影さんの本名は甲斐睦子。東京生まれで外交官の父親を持つ。87年に広東省広州市で燕飛霞氏と崆峒派に出会い、深い感銘を受け、90年には燕氏と結婚。このロマンチックな国際結婚のストーリーは、今でも国際武術界で語り継がれている。
崆峒派は、崆峒山を本山とし、少林、武当、峨眉、崑崙派と並ぶ、中国武術の五大流派の一つだ。
「崆峒派」教室が日本でも人気に
筆者はこのほど、崆峒山に行って花舞影さんを取材した。小柄な花舞影さんは流ちょうな中国語とやさしい笑顔で迎えてくれた。
唐の時代(618-907年)、不敵の剣豪だった飛虹子が、現在の甘粛省敦煌市で、仏教遺跡・莫高窟で壁画を見た時にインスピレーションを得て、崆峒山にこもり、「花架門」を築き、「崆峒派」の開祖となった。
夫・燕さんに師事した花舞影さんも「花架門」を得意とする。「目まぐるしく変化し、『有影』と『無影』の要素を兼ね備えるこの拳法は日本で近年、人気となっている。強さと物やわらかさを兼ね備えているため女性向き」と花舞影さん。
1990年代に、燕氏と共に東京に移住した花舞影さんは教室を開き、さまざまな国籍の生徒数千人を指導してきた。そして、国際崆峒派武術協会も設立した。