クレディ・スイス・リサーチ・インスティテュートがこのほど発表した「グローバル・ウェルス・レポート」2015年度版は、世界の世帯資産と一人あたり平均資産の分配状況に関する情報だ。
同レポートは米国を基準国とし、2015年の価格計算を踏まえ、資産額5万~50万ドル(1ドルは約109.3円)の人を中産階級の成人とみなす。世界の中産階級の成人数は2000年の5億2400万人から15年は1億4千万人(27%)増えて6億6400万人になり、総人口の14%を占める。中産階級の資産は00年の44兆4千億ドルが15年は80兆7千億ドルに増え、総資産の32%を占める。中国の中産階級の資産は15年は7億3400万ドルで、米国と日本に次ぐ世界3位だった。
中国の中産階級の人数は世界の青年人口の11%にとどまるが、絶対値で計算すると世界最多で1億900万人に上る。中国では100万ドル以上の資産をもつ人と5千万ドル以上の資産をもつ人が急速に増えている。同レポートによると、15年末現在、100万ドル以上の資産家は133万人に達し、うち5千万ドル以上の人が1万人に迫り、増加幅は約24%、人数は世界2位だった。世界の資産額5千万ドル以上の人のうち中国出身者は8%を占める。クレディ・スイスは、「今後5年間で中国では資産100万ドル以上の人が230万人前後に達する」と予測する。
興味深いのは、同レポートが中国の資産が15年間で6兆3千億ドルから約23兆ドルに増えるとみていることだ。米国ではこの規模の成長を遂げるのに33年間(1939~72年)かかっている。クレディ・スイスは、「今後5年間、中国の資産は引き続き9.4%の増加率で年々増加し、5年後には中国国民の豊かさは米国の88年の水準に達する」との見方を示す。
レポートによると、世界の世帯資産総額は14年中頃から15年中頃までに12兆4千億ドル減少して、250兆ドルになり、減少幅が4.7%に達したことだ。現在、世界の世帯資産は北米(92兆8千億ドル)と欧州(75兆500億ドル)に集中するが、アジア・太平洋地域の後発組のパワーも軽視できない。
14年度レポートと比べて、中国の世帯資産総額は7%増加し、調査対象の国・地域のトップに立った。中国は15年にアジア・太平洋地域の世帯資産総額に1兆5千億ドルの貢献をし、00~15年では累計22兆8千億ドルに達して、日本に取って代わり、米国に次ぐ世界2位になった。相場のマイナス要因が響いて、日本の世帯資産は15年に15%減少し、19兆8千億ドルにとどまった。
世界の資産総額は上下動すると同時に、貧富の格差が今なお緩和されていない。昨年は世界の0.7%の富豪に富の45%が集中し、同レポートは、「貧富の格差が拡大し続けるようなことがあれば、グローバル経済は再び低迷状態に陥る」と警告を発する。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年5月18日