◆ケース2 工業用ブラシ
オウンドメディアで有名になった蘇清涛氏は「匠の精神の過度な発揮が日本製造業の衰退を加速」という記事の中で、自らの経験を次のように振り返っている。蘇氏は当時、工業用ブラシを生産する民間企業の営業マンだった。主な取引先は外資系企業で、生産設備の中国現地化によるコスト削減をサポートしていた。
取引先の日系企業はそれまで、日本から購入した工業用ブラシを使用していた。その品質は中国製より優れ、使用寿命は中国製の約1.5倍だった。ところがその価格は中国製のほぼ10倍だったのだ。計算をすれば、コストパフォーマンスで中国製に遠く及ばないことが分かる。日本人も国を愛するが、ビジネスはビジネスであり、すぐにコストパフォーマンスが優れた中国製品に切り替えたという。
中国企業の作る製品は多くの場合、機能ばかりを重視し、審美的価値やそれが消費者にもたらす印象をそれほど気にしない。日本企業は逆にその点に力を入れる。匠がこだわりを追求することはいいことだが、その心意気に金を払う客がいることが前提となる。
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