中国では不動産価格が高騰する都市が増加の一途をたどり、「地王」と呼ばれる破格の高値で不動産を購入した不動産会社が頻繁に現れているが、今後の不動産市場はどのような見通しとなっているのだろう?中国社会科学院財経戦略研究院と中国社会科学院都市と競争力研究センターがこのほど、共同で発表した「中国の住宅2016中期報告」によると、全体的に見て不動産市場は上昇に転じているものの、今年下半期から2017年の第二四半期(4-6月)にかけて、不動産価格の上昇ペースや不動産投資の増加ペースは鈍化するだろうと予測している。 人民日報が報じた。
2015年の半ばから、中国の不動産市場は回復に転じ、分譲住宅である「商品房」の累計販売面積の前年同期比も、同年6月からプラスへと転じた。不動産価格も全体的に上昇の一途をたどり、不動産投資の前年同期比も、16年初めからその上昇が目立つようになった。特に、16年に入り、不動産市場は全体的に回復が加速し、上半期には、商品房の在庫予測が15年に比べて約5千万平方メートル減少した。不動産投資の国内総生産(GDP)の成長に対する寄与も0.37ポイント上昇した。住宅価格が上昇する都市も増加の一途をたどっている。
中国社会科学院財経戦略研究院の院長補佐を務める、「中国住宅発展報告」の編集長・倪鵬飛氏は、「現在、不動産市場が全体的に回復している主な原因は、政策の実施や市場予測の変化」と分析している。最近、不動産価格をコントロールするための政策が安定して打ち出され、14年下半期以降の一連の政策・対策は、市場や投資の回復、在庫整理などに明らかに影響を与えた。不動産価格が高騰している一線都市や一部の都市に対して、中国の中央政府や地方政府はただちに対策を講じ、一部のコントロール対策を調整。政策調整の時期やその力の入れ具合が適切であったため、一部の地域の高騰が抑制され、ソフトランディングへと向かっている。
同報告は、「一部の都市は『過熱』し、ほとんどの地域は『クールダウン』しているという分化は今後、一層加速する」と予測している。社会科学院金融研究所不動産金融研究センターの尹中立副センター長は、「深センの不動産価格の変化は、中国不動産市場の分化の動向の縮図。市場の分化は、一線都市、二線都市、三線都市などの都市の間だけでなく、一線都市の内部でも起きている。北京、上海、広州、深センの一線都市は、これまでの不動産価格上昇の過程では、上昇幅がそろって大きく、その差はほとんどなかった。しかし、昨年の深センの上昇幅は北京、上海をはるかに上回っていた。これは今までになかった現象」と分析する。
同報告は、「政府の不動産コントロール政策は、住宅市場が短期的に安定して下落することに立脚点を置き、急激な調整は避け、住宅市場が長期的に安定して、健全かつ持続可能な発展が実現できるようにしなければならない。今後の不動産コントロールは、▽在庫が継続して減少するよう促す▽不動産価格を安定させる▽投資の安定した増加を促す▽供給と需要のアンバランスを好転させる▽住宅金融のリスクを防止する---の5つの目標にしぼるように」と提案している。(編集KN)
「人民網日本語版」2016年7月19日
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