浙江大学農学院の樊龍江教授が率いるチームはこのほど、畑で最もよく見られる雑草であるヒエの全ゲノムシーケンスと、稲とのアレロパシーの実験を行った。ヒエが稲と争うための「秘密兵器」を明らかにし、稲の育種に向け新たな遺伝資源を指摘した。関連研究論文はオンライン科学誌「ネイチャー ・コミュニケーションズ」に掲載された。科技日報が伝えた。
植物のアレロパシーとは、分かりやすく言えば植物が「化学兵器」を放出することだ。植物は成長中、環境内に特定の防御性化学物質を放出することで、周辺の植物の成長に影響を及ぼす。
樊教授のチームはゲノム解析により、ヒエが稲の成長を大幅に抑制する、「DIMBOA」と呼ばれる二次代謝産物を分泌することを明らかにした。彼らはゲノム解析で、これを合成する3つの遺伝子クラスターを発見した。稲と寄せ植えすると、この遺伝子クラスターはDIMBOAの「製造」を直ちに開始する。
樊教授は、「DIMBOAはヒエ特有の秘密兵器で、稲には含まれない。また稲の秘密兵器であるモミラクトンは、ヒエも合成できる。そのため除草剤の力を借りなければ、稲は絶対にヒエに勝てない」と指摘した。
稲はC3植物で、トウモロコシやコーリャンなどの農作物はC4植物。相対的に見ると、C4植物の方が光合成効率が高い。科学者らはC4稲品種を開発し、生産量を高めようと試みている。樊教授は、ヒエの遺伝資源を稲の育種に活用できると考えている。ヒエは典型的なC4植物であり、稲と同じ生活環境と株の形を持つ。C4稲の育種にとっては、非常に理想的なモデル植物、C4遺伝子の供給源となることができる。(編集YF)
「人民網日本語版」2017年10月24日
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