こうした状況について、中国食品産業評論員の朱丹蓬さんは、「日系ビールの標準価格は他の輸入ビールよりも高く、消費者側からみると、価格が無駄に高いという印象があり、これが消費者の選択に一定の影響を与えている」と述べた。
実際、日系ビールはいずれも中国市場を喉から手が出るほどほしがっているが、真の急成長は達成できていない。一方、ABインベブとカールスバーグは都市や地域を攻略するやり方で中国市場の陣地を迅速に固めていった。公開された資料によると、インベブは中国市場の東部での発展に集中し、ABは東北での業務に集中した。2008年に両社が合併すると、中国ビール企業上位5位に入った。その後、ABインベブは中国市場でM&Aを続け、カールスバーグも拉薩(ラサ)ビール、新疆ビール、蘭州黄河、寧夏ビールなどへの相次ぐ投資により、最終的に重慶ビールの買収に成功し、中国西部のビール市場で版図を広げた。
ABインベブやカールスバーグのような直接のM&Aに比べ、日系ビールメーカーの中国での発展は投資方面に集中する傾向がある。たとえばアサヒグループがこのほど述べたところでは、青島ビールへの投資は完全に財務的な観点から行われたものだという。業界でも日系メーカーは財務投資を偏重しすぎるきらいがあり、双方の間にブランドやルートをめぐる協力はなく、管理権の提携もなく、投資に力を借りて新市場開拓へ乗り出すのは難しいとみられている。
方氏は、「日系ビールが中国で発展を模索する中でM&Aの窓口期を見過ごしてしまった。ABインベブのような世界的大手が中国市場で配置を加速させ、国産ブランドが次々誕生する中、日系ビールは徐々にはじき出され、市場での発言権が弱まっていった。またビール製品の特徴や口当たりについても、日系ビールは中国産ビールとの差がはっきりわからず、競争における優位性がはっきりしない」と指摘した。
▽高級路線は多難
アサヒは18年春、中国で新たに傘下に入れた欧州老舗メーカーの製品を売り出すとしている。主に上海など大都市の若い消費層をターゲットとし、卸ルートには高級スーパーとレストランを選んだ。キリンも11年から「ジャパンクオリティ」を掲げて営業販売活動を行い、中国高級ビール市場に進出している。
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