中国工業・情報化部(省)はこのほどIPv6(インターネットプロトコルバージョン6)の大規模展開及び特別プロジェクト監督・検査活動の全国テレビ電話会議を開いた。会議は「通信事業者は自社アプリの対応を事前に完了し、コンテンツ配信ネットワークの対応の時期を適度に繰り上げる。クラウドサービス企業、特に大型クラウドサービス企業はクラウドサービスのIPv6対応目標を適時完了し、さらにプラットフォームの優位性を十分に発揮し、中小企業にIPv6技術コンサルティングとウェブサイト対応などのサービスを提供する」と求めた。経済日報が伝えた。
中国工業・情報化部情報通信発展司の聞庫司長によると、中国のIPv6大規模展開は次の3つの主要段階を明確にしている。
(1)2018年までに市場駆動型の優れた発展環境をほぼ形成し、IPv6アクティブユーザー数が2億人に達する。
(2)2020年までに市場駆動形の優れた発展環境が次第に整い、IPv6アクティブユーザー数が5億人を上回る。新規ウェブアドレスは個人用IPv4アドレスを使用しない。
(3)2025年までに中国のIPv6ネットワーク規模、ユーザー規模、通信量規模が世界一になる。ネットワーク、アプリ、端末が全面的にIPv6をサポートし、次世代ネットワークへのフラットな進化とアップグレードを全面的に完了する。
このようにIPv4からIPv6への進化とアップグレードの推進が、大きな流れとなっている。IPv4はすでに30年以上も使用されている。インターネットの名前とデジタルアドレスを分配する国際組織のICANNは2011年の年初、世界のIPv4アドレスの分配がすでに完了したと発表していた。
聞氏は、「歴史的な原因から中国のIPv4アドレスの総量と1人あたりの平均数はやや少なめで、世界で真っ先にIPv4アドレス不足の問題に直面している。世界IPv6産業生態が未熟な中、中国は個人用アドレス転換技術の大量使用を強いられており、ネットワークの構造が複雑化し、トレースが困難になっている。また転送による遅延が増え、設備が高コストといった問題があり、インターネット発展のボトルネックになっている」と説明した。
世界各国がIPv6の展開を積極的に推進している。中国のIPv6ユーザーは現在全体の3%のみで、世界70位となっている。そのためIPv6の大規模展開の推進、IPv6に基づく次世代インターネットの発展は、中国のネットワーク情報技術の自主革新能力と産業ハイエンド発展水準の向上につながる。モバイルネットワーク、産業インターネット、クラウドコンピューティング、ビッグデータ、AIなどの新興分野の急成長を効果的に促す。新技術・新業態を生み、伝統産業のデジタル化・ネットワーク化・スマート化モデルチェンジを促進し、実体経済の発展に向け新たな動力を形成し、新たな空間を切り拓いていくことになる。
聞氏は実情を鑑みて、IPv6の展開で最大の課題となっているのは、関連する部分が膨大であるということ以上に、実際の操作における「ネットワークが応用を待ち、応用がネットワークを待つ」という問題にあると断言している。そのため対応が容易で、効果が顕著なLTEネットワークを突破口とし、先にLTEネットワークのIPv6エンドツーエンドの貫通、すなわち「モバイル先行」を推進するべきだとしている。通信事業者が自社業務システムの改造により、IPv6ユーザーを増やし、最終的に「通信量の突破」を実現していくことになる。
実際のところ、LTEネットワークとIPv6の改造の重点はエンドツーエンドにあるため、「エンドユーザーがIPv6アドレスを手にし、ネットワークインフラがIPv6機能を開通し、モバイルネットワークアプリがIPv6アクセスをサポートする」ことを強調していることとなる。そのため3大通信事業者が提供するアプリのうち、ユーザー数がトップ10のアプリのIPv6対応を先に完了し、各主要アプリストアで販売し、ユーザーがダウンロードし使用できるようにしていく。
モバイルネットワークの対応に先に取り組むと同時に、固定ネットワークのインフラもIPv6への対応を加速しなければならない。固定ネットワークはインターネット、モバイルネットワーク、IoT、社内ネットワークなどの業務を支える基礎的プラットフォームだ。ユーザーの普及率が高く、ネットワーク資源が豊富で、ネットワークサービスの質、信頼性、バンド許容力が高い。IPv6の大規模展開の基礎的な部分となる。
情報によると、通信事業者は年末までに北京、上海、広州、鄭州、成都のインターネット中核直結ポイントのIPv6への対応を終え、IPv6ネットワーク間の帯域幅を1Tbps以上とし、2020年末までにすべてのインターネット中核直結ポイントのIPv6への対応を終え、かつIPv6ネットワーク間の帯域幅を5Tbps以上としなければならない。
さらに通信事業者は年末までに都市エリアネットワークとアクセスネットワークのIPv6への対応を終え、かつIPv6業務受入機能の使用を開始する。固定ブロードバンドユーザーにIPv6アドレスを分配し、政府・企業ユーザーにIPv6に基づく専用サービスを提供していく。(編集YF)
「人民網日本語版」2018年8月9日
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